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DeNA・三嶋一輝、2年目で担う大役。
「開幕投手」の重圧を糧にする方法論。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/03/18 10:40
オープン戦で好投し、中畑清監督から開幕投手の大任を命じられた2年目の三嶋一輝。昨年は1年間ローテーションを守り、6勝9敗だった。
「開幕投手、レッツゴー!」と中畑監督も認めた。
「ストレートに勢いがあったね。投げ終わった後にマウンド上で飛びあがるような躍動感、それが今日はあったと思うな。点は取られたけどすごく安心して見ていられたね」
ひとしきり三嶋への評価を述べてから指揮官は、周囲が待ち望んでいた言葉をはっきりと口にした。
「開幕投手、言っちゃいます? 今日のピッチングならボチボチいいでしょう。『レッツゴー!』と言ってあげたいね」
この瞬間、三嶋は2年目にして開幕投手の大役を担うこととなった。
中畑監督のコメントにもあったように、三嶋が復調したキーワードは昨年の投球にある。強気の投球という原点に立ち返ったことで、三嶋は“本来の三嶋”を取り戻しつつあるのだ。
昨年の春季キャンプで三嶋は、自身の投球スタイルを明確に述べていた。
「ギラギラしている」と三浦大輔も称賛する躍動感。
「勝負事なんで結果が出るまでは何とも言えませんけど、自分が投げる試合では逃げたくないんですよね。投げっぷりの良さというか、正々堂々としたピッチング。そういう自分の持ち味を出していきたいですね」
シーズンでは有言実行を貫いた。
5月から先発ローテーションを任されると、7月までに10.00を超える奪三振率をマークするなど、思い切りの良さで早々にスターターの地位を確立した。
躍動感あふれる投球。それは、ベテランの三浦大輔も認めるほどだった。
「ピッチングもそうですけど、顔つきもギラギラしているんです。そこがいいですね。やっぱりね、三嶋みたいな選手がどんどん出てきてくれないとチームは強くなりませんから」
いわきで開催されたオールスター第3戦が終ると、三浦は自分の車の助手席に三嶋を乗せ、帰りの道中でプロとしての在り方を包み隠さず伝授した。