オリンピックへの道BACK NUMBER
男子バレー、描けなかったビジョン。
新監督に残された3年間という時間。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/02/23 08:15
全日本男子バレーの監督に就任した南部正司氏(左から2番目)。男子復権へ向け、大改革へ意欲を見せた。
バレーボール全日本男子の監督が交代することになった。
ゲーリー・サトウ氏が退任し、後任にはパナソニックの監督だった南部正司氏が引き継ぐと協会が正式に発表したのは、2月6日のことだ。
サトウ氏は、昨年2月の就任だから、わずか1年でやめることになったのである。
会見の席上で、監督を交代することに至った理由に、まずは就任後の大会の結果をあげている。
昨年9月に行なわれた世界選手権のアジア最終予選では1枠をかけて争い、韓国に敗れて本大会出場を逃した。これは14大会ぶりのことである。
11月のワールドグランドチャンピオンズカップでは5戦全敗。しかも5試合で1セットのみしか取れなかった。
近年、低迷の続いた全日本男子だが、その中でも悪い成績に終わっている。
また、交代の理由は、成績にとどまらず、手腕にも言及している。
「彼がやろうとしていたのは、アメリカが最高に強かった時のバレー。同じスキルを習得するには時間がかかり、日本への融合は難しい」(荒木田裕子・日本バレーボール協会強化事業本部長)
そもそも、サトウ氏の起用理由は何だったのか。
サトウ氏は、以前、アメリカ男子のコーチとして、1988年のソウル五輪で金メダルを、92年のバルセロナ五輪では銅メダルを獲得するなど、世界でも屈指の強豪国の地位を築くのに寄与した指導者であった。2012年のロンドン五輪で5位となったあと退任。そして全日本男子の監督となった人であるが、1年を経て、手腕に対しての評価が下がり、交代につながったということである。
ただ、そこにひとつの疑問が浮かび上がる。
そもそも、どのような理由からサトウ氏を起用したのかということだ。