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史上初の外国人監督が1年で交代!
男子バレー、これは可能性か混迷か。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2014/02/14 10:50
アジア選手権で7度優勝し、ミュンヘン五輪で金メダルを獲得した栄光も今は昔、日本男子バレーは低迷を続けている。南部正司新監督はこの苦境にどう挑むのか。
わずか10カ月の在任期間だった。
昨年、外国人として初の日本代表監督に就任した全日本男子のゲーリー・サトウ監督が退任し、現在V・プレミアリーグ、パナソニックの指揮を執る南部正司監督が、新たに全日本監督に就任することが、2月6日、発表された。
監督交代の理由の一つは、昨年の結果があまりに悪かったこと。特に、昨年9月の世界選手権アジア最終予選で韓国に惨敗し、1960年の初参加以来初めて本大会出場を逃したことが大きかった。
日本バレーボール協会の荒木田裕子強化事業本部長は「世界選手権出場は当然という意識があったので、ものすごいショックを受けました」と振り返る。そこから体制を再検討する動きが生まれ、サトウ監督との話し合いや強化委員会の会合を重ねた結果、交代に至ったという。
「日本のバレーとアメリカのバレーを融合するには、まだまだ時期尚早なんじゃないかと判断しました。アメリカは長く世界トップを争っているチームで、個々が自立しており、心身ともにトップのアスリートが揃っていますが、日本の選手はそこまでに至っていない。そこにアメリカの指導をそのまま持ってきても、かなり難しい。それを埋めようとサトウ監督と何度も話し合いましたが、埋められませんでした」
サトウ元監督の短時間集中練習に異を唱えた本部長。
例えば練習のやり方について、大きなギャップがあった。サトウ監督のもとでは、基本的にボール練習は午前中の約2時間半だけで、午後はウエイトトレーニングのみ。
それに対し荒木田本部長は、「日本人はやはり、練習して練習して一つ一つの技術をしっかりとしたものにし、そこから得る自信がベースとなっていくもの。1日2時間半の練習という体制の中で、日本の選手がしっかりと自分のこと、チームのことを考え、技術的にも何をすべきか判断してやれるかといったら、難しいんじゃないか」と異を唱える。
後任に自薦他薦で手を挙げた外国人を含む5人の立候補者が12月28日の強化委員会でプレゼンを行ない、その中から選ばれたのが南部監督だった。
'07年からパナソニックの監督を務め、2度の三冠(V・プレミアリーグ、天皇杯、黒鷲旗)を果たすなど、チームを何度も日本一に導いてきた。就任記者会見では、「'16年リオデジャネイロ五輪出場を目指して、力の限り全日本男子の再建にあたっていきます。日本が世界に誇れる長所である守り、つまりサーブレシーブとディグ(スパイクレシーブ)をもう一度世界一にしたい。それと、サーブを改善することによって、必ず日本はよくなるはず」と意気込みを語った。