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内田篤人「俺は“つなぎたい派”」
チーム1の出場数とタッチ数の意味。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2014/01/30 10:50
攻守に奮闘し、後半36分までプレーした内田。だが、前半37分に警告を受けたため、残念ながら次戦は累積警告で出場することができない。
ドラクスラーら中心選手にも移籍の噂が……。
ウインターブレイク中には、ドイツ代表MFのドラクスラーのアーセナルへの移籍が噂された。昨年5月に、2018年6月30日まで契約を延長して、今シーズンから10番を与えられたドラクスラーに移籍の噂がたつのは、とても普通の状態ではない。本稿執筆時点で去就は明らかになってはいないが、彼の心の中に今のシャルケでプレーすることへの迷いがなければこんなことにはならないはずだ。実際、ケラー監督が選手たちから十分に信頼を受けていないという声は小さくない。
だからこそ、今のシャルケにはプレーする選手たちの奮起が求められているのだ。確かにチームとして、歯車がうまくかみ合っていないところがあるかもしれない。その理由の一つがケラー監督の手腕にあるのは間違いないのだろう。しかし、ピッチの上でサッカーをするのはあくまでも選手なのだ。
浮沈に責任を負う内田が見せた、ある2つのプレー。
HSV戦のメンバー表を読み返してみると、興味深い事実に気がつく。
スターティングメンバーに名を連ねたシャルケのメンバーの中で、内田はファルファン、マティプに次いで3番目に長くこのクラブに在籍している選手となっていた。
彼はチームの浮沈に責任を負う立場にいる選手なのだ。
内田はHSVとの試合でふたつの注目すべきプレーを見せている。ひとつはチームの3点目が生まれたカウンターの場面。自らパスカットしただけではなく、フンテラールにスピードのあるボールを送り、カウンターの起点となった。
「フンテラールにはロッカーで(試合後に)話したんだけど、『あれはオマエに当てたんじゃなくて、(奥にいた)マックス(マイヤー)に当てたんだけど』と。そうしたら、フンテラールもわかっていた。『俺(に向けてのパス)じゃねぇよな』みたいな感じで。フンテラールの裏にいたマックスに合わせるつもりで蹴ったんだけど、フンテラールが上手く頭で流してくれた」
内田によれば、本来はフンテラールよりも中央寄りの高い位置にいたマイヤーへのパスだったのだが、それでもシャルケは流れるような連携とスピードから、この試合の中で最も美しいゴールを決めた。だから、内田はこう続けた。
「狙いは違かったけど。まぁ、良いんじゃないですか」