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「肩をたたかれるまではやらないと」
ヤンキース黒田博樹の自負と覚悟。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2014/01/20 10:40

「肩をたたかれるまではやらないと」ヤンキース黒田博樹の自負と覚悟。<Number Web> photograph by Getty Images

昨年末FAとなり、ヤンキースと1600万ドルで1年契約を結んだ黒田博樹投手。今シーズンも先発の柱として期待されている。

昨シーズンの成績が、実は悲観的でない理由。

 確かに昨シーズン終盤の投球は、黒田自身の中でも決していいイメージを持つことはできなかったはずだ。しかし、本人が限界を決めるべきではないと話す通り、実は昨シーズンの成績を一概に悲観的に捉えるべきではない。

 もうすでに誰もが認識していることだが、ヤンキースが所属しているア・リーグ東地区はメジャーの中で最激戦区として知られている。

 昨シーズンもシーズン途中で所属全5チームがすべて勝率5割を上回るという激しい攻防が繰り広げられ、結局4チームが勝率5割以上でシーズンを終えたほどだ。

 しかも、5チームの本拠地球場はすべて“バッターズ・パーク”と言われる打者有利の球場ばかりなのだ。

 同地区内の試合が多くなっているスケジューリングで強豪チームとの対戦が続き、しかも、打者有利の球場ばかりで投げなければならないわけだから、必然的にア・リーグ東地区の投手の負担は他の地区よりも高いと考えるべきだ。

 その地区内の先発投手だけで比較してみると、黒田は先発試合数(32試合)、防御率(3.31)ともにトップにランクしている。

 しかも、昨シーズンのチームの平均得点は地区内で最下位(ア・リーグでも15チーム中10位)と、味方打線の援護をあまり得られない状態で投げ続けてきたのだ。

ナ・リーグ時代と変わらない成績を残すことの意味。

 黒田はドジャース在籍時の2011年以来、故障せずにローテーションを守り、最低でも32試合を投げ3年連続で200投球イニングを達成している。さらに防御率に関しても3年連続で3点台(3.07、3.32、3.31)を記録。

 投手も打席に立ち、投手有利な球場が多いナ・リーグ西地区に在籍していた当時と、ほぼ変わらない成績を残し続けていること自体、驚異的なことである。

 もちろんヤンキースは今シーズンの黒田にも同様の成績、投球を期待しているだろう。

【次ページ】 年を追うごとに、シーズンへの恐怖感は大きくなる。

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