MLB東奔西走BACK NUMBER
「肩をたたかれるまではやらないと」
ヤンキース黒田博樹の自負と覚悟。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2014/01/20 10:40
昨年末FAとなり、ヤンキースと1600万ドルで1年契約を結んだ黒田博樹投手。今シーズンも先発の柱として期待されている。
年を追うごとに、シーズンへの恐怖感は大きくなる。
黒田にとってヤンキース3年目であると同時に、39歳という年齢で迎えるシーズンには不安もある。
「(シーズン中に)体力的な部分や技術的な部分でちょっとおかしくなるかは、実際に経験してみないとわからないもの。もしかしたら今シーズンはそれを感じないかもしれないですけど、それがいつ来るかわからないという恐さもある。
特にメジャーは体力勝負。メジャー1年目で、中4日登板を経験したことがない恐さがありながら1年間投げた時と同じような恐怖感というのがあると思います。当然、経験したことがないのでゴールが見えない。そこで走り続けるのは相当に恐いと思いますけどね。
年を追うごとにシーズンを迎える恐怖感が大きくなってきているのは当然のことだと思います。シーズンを迎える前の不安は毎年あります。特にヤンキースというチームは注目されている分、ダメだった時の叩かれ方も半端ではない。それを過去2年間経験できたことで、それが逆に自分のモチベーションになっている部分もある。ただ、この年齢になってヤンキースにもう一度飛び込んでいくのは相当の勇気が要りました」
黒田の言葉の中には、まさに期待を一身に背負う“選ばれしもの”故の悲壮感が垣間見えた。
現在もシーズン開幕に向け肉体的に追い込みをかけ続けている日々を過ごす黒田。ここから先、彼が休息できるのは9カ月以上後のことだ。もう全身全霊をかけた戦いは始まっているのだから……。