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<箱根駅伝・駒大のエースに聞く> 窪田忍 「最後の箱根駅伝はマラソンランナーへの大切な通過点です」
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byShunsuke Mizukami
posted2013/12/30 08:00
1月3日から箱根で優勝することを最大の目標にしてきた。
前回の箱根駅伝、駒大は優勝候補筆頭と考えられていたが、窪田ら2、3年生のメンバーで走った往路で9位に沈んだ。芦ノ湖では大八木監督も「もう1位は無理だね」と寂しそうな表情を浮かべていた。
だが、優勝が困難な状況にもかかわらず、4人の4年生が襷をつないだ2日目は見事に復路優勝。総合でも3位まで順位を上げた。
「復路での4年生の走りを見て、すごい悔しかったんです。こんなに強い4年生がいて、往路で僕らさえしっかり走れていれば優勝できていたかと思うと、もう……。自分の走りもふがいなくて悔しかったけど、復路が終わった後のほうがその気持ちが大きくなった。その日、1月3日から、この1年間、箱根で優勝することを最大の目標にしてやってきましたから」
3月のびわ湖毎日で感じたマラソンの難しさと奥深さ。
悔しさが、ランナーを前へ、そして先へと進ませる――。
その意味では'13年の3月、びわ湖毎日マラソンは、窪田の大きなターニングポイントとなるのかもしれない。大学長距離界のスターが初マラソンに挑戦するということで期待が集まった。だが30kmで失速し、タイムは2時間15分48秒。失敗と言ってもいいだろう。
だが、そのレースを振り返ってもらうと、箱根駅伝の話をしているときよりもずいぶんと楽しそうな顔になる。
「もうーー、あれは別世界でしたね。初めて経験するきつさでした。すごいですよ、あのきつさは。脚や身体が動かないというレベルではなく、まったく力が入らないというか。本当にマラソンは難しいし、奥深いなって。ペース配分や集団の中での位置取りといったことも含めて、これまでの人生で一番勉強させられたレースだったんです」
窪田は「でも」と、言葉を続ける。