プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ウルグアイ、イタリアと死のD組に。
イングランドは国内の悲観論を覆せ!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAP/AFLO
posted2013/12/17 10:31
抽選会直後のミックスゾーンで記者に囲まれるホジソン監督。「第1シードが2ついるようなものだ。それでも、私はポジティブだよ」と語った。
「イングランドに再入国させてもらえるだろうか?」
両解説者は、スイス、エクアドル、ホンジュラスの3チームが決まっていたグループEを、望んでいた。だが、母国は「死の組」に入り、リハーサルでは「死の組」に入っていたフランスが、グループEの一枠を占めることになった。抽選終了後のハーストは、「イングランドに再入国させてもらえるだろうか?」と、冗談混じりにツイートする結末となった。
しかも、イタリアと当たる初戦の会場は、ホジソンが最も避けたがっていた、アマゾナス州のマナウスだ。イングランドが拠点とするリオデジャネイロから、飛行機で5時間という移動距離の長さと、気温30度以上、湿度80%以上と言われる熱帯性の気候が指揮官の警戒心を煽った。さらにコスタリカとのグループ最終戦の舞台となるベロオリゾンテも、縁起の良い会場ではない。
やはりブラジル開催だった'50年W杯で、世界に名立たる「サッカーの母国」が、「無名集団」のアメリカに敗れた会場がベロオリゾンテだったのだ。加えて、抽選2日前には、コスタリカ代表DFのブライアン・オビエドが、エバートンで先発し、マンチェスター・ユナイテッドから決勝ゴールを奪う活躍も見せている。
そして、その間に対戦するウルグアイでは、あのスアレスが、エディンソン・カバーニという、マンチェスター・シティやチェルシーも欲しがった強力な相棒を引き連れて、イングランドのゴールを陥れようと狙っている。
スアレスは、直前のノリッチ戦で4ゴール1アシストの大暴れ。そして5点を奪われたGKはジョン・ラディ。マンCで守護神の地位から転落中のジョー・ハートの代わりに、代表ナンバーワンに推す声もある現イングランド第2GKだ。イングランドにとっては、凶兆だらけの抽選結果だった。
「イングランドには適したグループ」
だが、物は考えようである。抽選結果の感想を尋ねられたホドルは、苦笑いを浮かべた後、気を取り直すように一呼吸置いてから「イングランドには適したグループのように思える」と返答した。いかに、ブラジル大会では優勝など期待されていないとはいえ、いわゆる「楽勝グループ」に入れば、1位通過が当然とみなされて、若手も増えたチームがプレッシャーに負ける恐れもある。
その点「死の組」であれば、「余計なプレッシャーがない状態で戦える」と、ホドルは言う。「選手たちが油断することもない」点も、勝ち抜けが厳しいグループの利点として挙げた。たしかに、前回の南ア大会では、アルジェリア、スロベニア、アメリカと同居したグループが、4チームの頭文字を取って(アメリカは俗称のヤンキー)「EASY」とメディアで呼ばれたが、実際には苦戦。2位でのグループステージ突破となり、国民を嘆かせた。