オフサイド・トリップBACK NUMBER
CL決勝トーナメント見所総まとめ。
大規模監督交代が生んだ因縁を読む。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byAFLO
posted2013/12/17 12:20
スイスはニヨンにあるUEFA本部にて行なわれた抽選会の、組み合わせ結果発表の画面。ベスト16ともなると、ほぼどの対戦にも優勝候補が絡んでくる。
近年例を見ない一連の監督交代劇から約半年、CL決勝トーナメント抽選会の時期がやってきた。12月16日に行なわれたこの抽選会は、欧州サッカーのシーズンがいよいよ佳境に入りつつあることを示す、シンボリックな意味合いを持っている。と同時に浮かび上がってくるのは「戦いの構図」――毎年、微妙に移り変わっていく文脈である。
今シーズンのCLでは、イングランド勢の復調とドイツ勢の安定感、そしてイタリア勢の元気のなさが顕著だ。この事実は、決勝トーナメントに残ったクラブの国籍からも伺える。(内訳はプレミア4、ブンデス4、リーガ3、セリエ1、その他4)。
たとえば昨シーズンは、マンチェスター・シティとチェルシーがグループリーグで敗退。マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルも16強で敗れたために、イングランド勢はベスト8に一つも残らなかった。対照的にバイエルンとドルトムントは順当に駒を進め、ファイナルでは史上初のドイツ対決を実現させている。たしかに今シーズンも、勝負はふたを開けてみるまでわからないが、昨シーズンに比べれば、イングランド勢が元気の良さを取り戻した印象は強い。
プレミア勢が、注目カードを彩るトーナメント初戦。
事実、決勝トーナメント一回戦の注目カードも、イングランドのクラブチーム絡みだ。
まず、最初の抽選でいきなりビッグマッチが実現し、関係者の話題を集めたのはマンチェスター・シティ対バルセロナである。ちなみに両者が主要な国際大会で顔をあわせるのは今回が初となる。近年のシティが、いかに急速に自らの格と実力を高めてきたかを示すエピソードだといえるだろう。加えて今シーズンは、監督がマンチーニからペジェグリーニに交代している。手堅いゲーム運びよりは、失点覚悟で攻勢に出るスタイルを好む集団に変貌した。
このような変貌の一端は、今シーズンのCLグループリーグにおいてもうかがうことができた。シティは昨シーズンの優勝チームであるバイエルンと同組に入り、最終節にアウェーで行なわれた試合では3-2と勝利。あわやバイエルンを逆転し、グループを首位で突破する寸前まで行っている。成績に波はあるものの、シティは今シーズンのプレミア勢の中で、最も派手な試合をするチームになった。