プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ウルグアイ、イタリアと死のD組に。
イングランドは国内の悲観論を覆せ!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAP/AFLO
posted2013/12/17 10:31
抽選会直後のミックスゾーンで記者に囲まれるホジソン監督。「第1シードが2ついるようなものだ。それでも、私はポジティブだよ」と語った。
死の組を抜けると、トーナメントは楽な相手?
マナウスでの試合が、同じ欧州勢のイタリアと、グループ第1節での対戦であることも、不幸中の幸いと言える。試合巧者だがスロースターターのイタリアに対し、開始早々から主導権を握り、暑さの中で戦うための準備期間は、マイアミでの強化合宿を含めて十分にある。
準備時間が限られる開幕後の2試合は、いずれも飛行機で1時間程度の「ジャングル都市ではない」会場で行なわれる。往年の代表得点源だったガリー・リネカーが、「0-0連発で最後のコスタリカ戦で決めればいい」とツイートしたように、無難に勝ち上がるシナリオさえあり得るだろう。
もちろんイタリア戦で敗れれば、心身両面のダメージを引きずったまま、ウルグアイ攻撃陣の餌食となり、コスタリカに勝ったところで既に手遅れという展開にもなりかねない。
実は、イタリアとウルグアイには、過去の大会で勝っためしがない。しかし、ブラジル大会でのイングランドには、組分けが決まる前から、グループステージ敗退の可能性が指摘されていたはずだ。
巷では「ベスト8進出なら上出来」という見解が一般的だった。グループDに入ったイングランドは、イタリアとウルグアイという「準第1シード級」と同居する代わりに、優勝の有力候補であるブラジル、ドイツ、スペイン、アルゼンチンとは、ベスト16でも当たらずに済む。国内では、ホドルのように「サプライズ要素がある」と日本を評価する識者もいるが、グループCからはコートジボワールとコロンビアが抜けるとの見方が一般的。そして、そのどちらが来てもイングランドに「勝算あり」と言われる。つまり、グループDは、ベスト8への近道と考えることもできるのだ。
ベスト8の夢は確かにある。あとは祈るのみだ。
指揮官も「イングランドの存在が『死の組』と呼ばれる理由の1つ」と胸を張り、「イタリアの報道陣に、アンドレア・ピルロとマリオ・バロテッリ対策を訊かれたが、向こうも、スティーブン・ジェラードとウェイン・ルーニーの止め方を考えた方がいい」と、強気だ。
ホジソンが抽選会場でメディア対応に追われている頃、イングランドでは、今夏にチェルシー入りし、ブラジルと同じグループAに入ったカメルーン代表FWのサミュエル・エトーが、「夢があってのサッカー。さぁ、夢を見よう!」と明るくツイートしていた。グループDを「夢の組」と呼ぶことまではできないが、ベスト8以上への夢を見ることはできるグループだ。あとは、その夢が悪夢にならないことを神に祈ろう。