プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ウルグアイ、イタリアと死のD組に。
イングランドは国内の悲観論を覆せ!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAP/AFLO
posted2013/12/17 10:31
抽選会直後のミックスゾーンで記者に囲まれるホジソン監督。「第1シードが2ついるようなものだ。それでも、私はポジティブだよ」と語った。
12月6日に行なわれたW杯組分け抽選の結果、イングランドはグループDから決勝トーナメント進出を目指すことになった。対戦相手は、強豪のイタリア、難敵のウルグアイ、そして、未知数のコスタリカ。「D」は「Death」の頭文字という語呂の良さもあり、抽選結果を伝える国内メディアでは、「死の組」という言葉が盛んに使われた。当人は冗談のつもりだったようだが、抽選会場で喉元をかっ切る仕草をする、グレッグ・ダイクFA会長の写真も各紙に掲載された。
大衆紙ともなると、母国のクジ運のなさに、得意の自虐的なユーモアが全開。最大手の『サン』紙では、ブラジルの代表的なイメージでもある、「コルコバードのキリスト像」写真と、「神の御加護を!」の見出しが第1面を飾った。
紙面をめくれば、そこには、探検家のような帽子を被ったロイ・ホジソン監督の顔写真と、雨(Rain)ではなく「痛み(Pain)」の多い、「アマゾン・ペイン・フォレスト」の文字。「噛みつく生き物に注意」の吹き出しの下には、ルイス・スアレスの写真があった。リバプール所属のウルグアイ代表FWは、昨季終盤のリーグ戦で相手DFに噛みつき、10試合の出場停止処分を受けた。だが、9月に処分が解けた今季は、すぐさま得点王争いに顔を出し、ゴール前で正当に牙を剥いている。
「グループDも避けたい」という言葉の直後に。
それにしても、これほど皮肉な抽選結果も珍しい。まずイングランドは、欧州勢が1チーム余っていたポット4から、ポット2に移るチームに選ばれる事を避けたがっていた。組分けのルール上、困難なグループに入る確率が高かったためだ。リハーサルではフランスがポット2に移され、ブラジルとイタリアと同じグループに入った。
この願いは、一先ず叶うことになる。本番の抽選でポット2に移されるクジを引き当てたのは、イタリアだったのだ。ポット4の抽選を担当したのは、イングランドが優勝した1966年W杯の英雄の1人、ジェフ・ハースト。スカイスポーツの抽選実況にゲスト出演していた、元イングランド代表監督のグレン・ホドルは「第1の任務は無事終了。ジェフは入国拒否されずにブラジルから戻ってこられそうだ」と、周囲を笑わせた。
ところがそのハーストは、残る組分けの任務で、グループD最後の1チームとして母国を引いてしまった。ホドルと共にゲスト解説を務めていた、元代表FWのアラン・スミスが、「グループGの他にDも避けたい」と言った直後の出来事だった。