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伝統が進化を促す明治神宮大会。
高校・大学の優勝校を徹底分析。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/11/27 10:30

伝統が進化を促す明治神宮大会。高校・大学の優勝校を徹底分析。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

11月16日、関東一戦の9回表1死二、三塁で、センター越えのタイムリー三塁打を放ち三塁に滑り込む沖縄尚学・久保柊人。明治神宮大会での同校初優勝の原動力となった。

六大学リーグに実績で上回る東都リーグだが。

 この明治神宮大会と6月に行われる全日本大学野球選手権(以下大学選手権)で、東都と東京六大学のリーグ代表校はこれまでどういう戦いを演じてきたのだろう(対戦はいずれも決勝戦)。

大学選手権 明治神宮大会
'85年 法政大 4-1 東洋大 '93年 駒澤大 4-1 早稲田大
'99年 青山学院大 6-2 早稲田大 '95年 明治大 5-4 青山学院大
'02年 亜細亜大 2-1 早稲田大 '06年 亜細亜大 5-2 早稲田大
'11年 東洋大 3-1 慶応大 '07年 東洋大 2-0 早稲田大
'12年 早稲田大 4-0 亜細亜大 '13年 亜細亜大 2-1 明治大

 過去5戦の戦いは、大学選手権が東都の3勝2敗、明治神宮大会が東都の4勝1敗と、東都が断然リードしている。しかし、過去の実績でいくら東都が上回っても、実際に代表校が優勝をかけて戦えば必ずと言っていいくらい手に汗握る熱戦になるし、選手たちのライバル意識も高い。ここからは、そういうライバル意識が大学野球をここまで進化させてきたという話をしたい。

明治学院と東京大学の浅からぬ因縁。

 亜細亜大対明治大の決勝戦から4日後、同じ神宮球場で明治学院大対東京大という試合が行われた。試合は「明治学院創立150周年記念」と銘打たれたエキシビションゲームで試合は3-1で明治学院大が勝った。

 首都大学2部リーグ7位の明治学院大と東京六大学リーグ最下位の東京大がどうして記念試合をするのかというと、野球伝来から18年後の明治23(1890)年当時、学生野球界をリードしていたのは帝国大学の予備門・第一高等中学校(以下一高、のちの東京大学教養学部)や明治学院、東京英和学校(のちの青山学院)などで、早慶野球部ですらまだこの世に存在せず、東京六大学リーグの開幕は35年後の1925年まで待たなければならない。そんな遠い時代、のちの明治学院大と東京大が対戦し、試合中に発生した暴力事件で試合が中断されるという事件があった。世に言う“インブリー事件”である。

【次ページ】 一高の歴史に見る、ライバル関係の重要性。

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