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“狭く濃い”サービスで心をつかめ!
ズムスタで学ぶ顧客満足度のカギ。 

text by

葛山智子

葛山智子Tomoko Katsurayama

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/10/24 10:30

“狭く濃い”サービスで心をつかめ!ズムスタで学ぶ顧客満足度のカギ。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

MAZDA Zoom-Zoomスタジアム(ズムスタ)のスコアボードのライト側にできた特別席“寝ソベリア”。マツダスタジアムでは、他にもさまざまなサービスを展開している。

ターゲットを絞ることが満足度向上のカギ。

 誰が、いつ、どこで、誰に提供するかによって、その都度提供されるサービスの内容が変わってしまう可能性があるため、どの従業員も一定レベルのパフォーマンスを発揮できるような仕組みが重要なのだが、それに影響を与える1つの要素が、サティスファクション・ミラーの作用である。

  

 このサティスファクション・ミラーで重要なことは、すべての人を喜ばすという視点に立つのではなく、しっかりターゲット顧客を選ぶこと。すべての顧客を喜ばす方針では、顧客ニーズの把握や対応方法にさらに詳しくなることは難しいからだ。

 この点に関し、前述のMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島をはじめとした「ファミリー向け」の取り組みは、「球場に足を運びたい人全員」を相手にしているのではなく、ファミリーを満足させるということに集中している。従業員にそのニーズ対応方法を熟練させることができ、そのサービスレベルに満足したファミリーがまた足を運んだり、さらなる真摯なフィードバックをかけたりすることで、さらに提供するサービスの質が上がる。このサイクルにより観客満足度もあがり、従業員満足度も高くなる。さらに満足度の高いスタッフは自らのサービス提供の生産性を上げる。生産性が上がるとコストが低下し、観客は価格メリットなどを受けやすくなると考えることができる。

 日本の球団の中には、このようにマネジメント上で重要なターゲット顧客を明確に選ぼうとしている球団が増えてきているように思う。これこそサービスマネジメントの視点から成功確率を上げる方法の1つなので、このような取り組みが加速していることは、スポーツ界の発展にも大きな影響を与えることになるのではないかと、筆者も期待している。

【次ページ】 企業、従業員、顧客。3者の距離感をつかむ。

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