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CBは“信頼感”のポジションである。
吉田麻也が語る相棒、代表、クラブ。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2013/10/02 10:31
グアテマラ戦で久しぶりにコンビを組んだ吉田麻也と森重真人。人に対する強さに定評がある森重は吉田との相性もいいが、今野泰幸が積み上げてきた実績、信頼感の壁は高い。
数試合活躍することと、コンスタントにプレーすること。
「でも、やっぱりまだ数試合出ただけというのと、今ちゃんみたいに60試合ぐらい代表戦を戦っているのでは、また話が全然変わってくるんです。数試合、いいパフォーマンスをするのは難しくない。自分だって代表にデビューして、最初の数試合はインパクトを残そうと思ってプレーしていた。でもやっぱりコンスタントに10試合、20試合それができて、認められるところがある。正直、モリゲが代表に来たことで、自分もすごくピリッとした。でも、僕の中でも彼はいつか代表に呼ばれると思っていた。前からそんな話もしていましたよね。だから動じることはなかったし、逆に自分もこれまで数十試合、代表のCBでプレーしてきたという自負をしっかり持とうと思ったのです」
ザッケローニ監督が今後、CBのポジション争いを促すことは十分に考えられる。しかし、サッカーのチーム作りをするうえで、どちらかというと攻撃陣よりも守備陣はメンバーを固定されていくという定石がある。細かい戦術や約束事の重ね合わせが不可欠なディフェンスにおいて、積み上げてきた時間と場数は嘘をつかない。だからこそ、一方で指揮官の今野と吉田に対する信頼感も、そう簡単には揺らがないと言えるのだろう。
クラブで定位置を取り返すことから全ては始まる。
CBとは、ことさら“信頼感”が必要なポジションである。代表チームで窮地を味わった吉田だったが、まだ失われていなかったこの3文字を胸に、再び自らの存在価値を上げようとしている。
ただし、皮肉な現実もある。それは吉田が今度はサウサンプトンでその“信頼感”を失いかけており、試合出場に恵まれないという事態に直面していることである。新戦力のクロアチア代表CBのロブレンの存在、そして代表活動とケガで出遅れたプレシーズンの結果、ポチェッティーノ監督は視線の中心に吉田を据えなくなってしまったのが現状だ。
代表で、クラブで、吉田はCBとしての信頼を勝ち取ることの大切さと難しさ、この両面をいま、痛感している。