Survive PLUS ~頂点への道~BACK NUMBER
CBは“信頼感”のポジションである。
吉田麻也が語る相棒、代表、クラブ。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2013/10/02 10:31
グアテマラ戦で久しぶりにコンビを組んだ吉田麻也と森重真人。人に対する強さに定評がある森重は吉田との相性もいいが、今野泰幸が積み上げてきた実績、信頼感の壁は高い。
Number Webでは、雑誌と連動したウェブオリジナル企画
「Survive PLUS ~頂点への道~」として、Number本誌には
掲載されなかったエピソードや、取材の舞台裏などをお届けします。
第5回の今回は、CBに最も大切な“信頼感”について、
レギュラー争い、そして仲間への思いを吉田が語ってくれました。
“信頼感”。
指揮官と選手の間には多かれ少なかれ、築かれているものである。絶対的な存在であるエース、味方を鼓舞し闘う集団にまとめ上げる主将、最後尾でドッシリと構えて全体を締める守護神……。どんなチームにも、現場の長が自分の意志と思いを託す人物が、ピッチ上に存在する。
日本代表にも、そうした選手が何人かいる。アルベルト・ザッケローニ監督はこれまで、一人の選手を絶対的な存在として名指ししたことはないが、彼が信を置く選手というのは、起用法や接し方を見ていて感じ取ることができるだろう。
そして今回、9月に行なわれたグアテマラ戦とガーナ戦で、あらためて吉田麻也がこのイタリア人監督から一定の信頼感を得ていることがわかった。ここ最近、周囲から指摘されてきた吉田のミスや不安定なプレー。それを受けても、ザッケローニ監督は吉田を起用し続けている。周囲の評価にブレることなく、指揮官はCBの一角に背番号22を据えたのだった。
グアテマラ戦、相棒は今野ではなく森重が選ばれた。
何より、吉田がその思いを一番重く受け止めていた。
「監督が会見で、僕らを信頼していると言ったという記事は見ました。期待、信頼してもらえていると思ってもいる。それにしっかり応えたい」
感謝の念や、期待に対する責務。そうした、身の引き締まる感情の一方、ここまで3年弱の間、やはりこのチームの最終ラインでプレーし続けてきたという自負もまた、吉田は再確認したのだった。
グアテマラ戦でのことだ。ザッケローニ監督は普段の先発メンバーから何人かを入れ替えた。吉田は変わらず先発で起用されたが、相棒にはいつもの今野泰幸ではなく、森重真人が選ばれた。
吉田と森重は同世代のCB。かつては2008年の北京五輪でともにプレーしたメンバーでもある。大会直前の壮行試合、そこで吉田がミスを犯した結果、本大会では森重が先発に昇格。結局吉田は大会敗退が決まった第3戦オランダ戦のみの出場と、悔しさだけが残る五輪となってしまった。