プロ野球亭日乗BACK NUMBER
菅野、大谷と2年連続“強行指名”。
低迷する日ハムのドラフト戦略を問う。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2013/09/16 08:01
大谷翔平は投手として10試合に登板し3勝をマーク。打者としては打率.270、19打点、3本塁打(9月13日時点)。投打に非凡さを見せているが、二刀流の難しさも感じながらのシーズンを過ごしている。
トレードが輸血だとすれば、ドラフトは造血。
チーム作りとは決断である。
日本ハムはいち早くベースボール・オペレーション・システム(BOS)を導入して、新しい視点から決断を導くチーム作りに取り組んでいる。
今季も生え抜きのスター選手だった糸井嘉男外野手と八木智哉投手を放出して、衰えの目立つ金子誠内野手に代わる遊撃手として大引啓次内野手を、木佐貫洋投手と赤田将吾外野手とともにオリックスから獲得している。情ではなくプラグマティックなチーム編成で、他チームとは一線を画した補強を進めるチームといえるだろう。
ただ、トレードによる補強が輸血だとすれば、ドラフトでの補強は新しい血を自ら作る造血作業のようなものだ。ここがうまくいかなければ必ず新陳代謝が滞り、チームという生き物の動きは悪くなっていくのである。
今季の低迷は、決して現場だけの責任ではない。
むしろ2年間、新しい血を作らずに、輸血だけに頼ったツケの部分が大きい。ドラフトの“失敗”がもたらした低迷、編成の失敗に負う部分が大きいと言えるはずなのだ。
「勝負するときは勝負するが、引くときには引く。勝負ばかりしているのは、本当の博打打ちじゃあない」
これは西武やダイエーの編成担当として辣腕を発揮、ドラフトでも周囲をアッと言わせてきた故根本陸夫さんの言葉である。
勝負し続けていたら、必ず負ける。
だからドラフトの判断はチームの命運を左右するのである。