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ついに終わった斎藤佑樹の大学野球。
神宮大会決勝は珠玉のラストゲーム。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byMasashi Adachi

posted2010/11/19 12:15

ついに終わった斎藤佑樹の大学野球。神宮大会決勝は珠玉のラストゲーム。<Number Web> photograph by Masashi Adachi

早大野球部第100代主将として、チームを神宮大会初優勝に導いた斎藤佑樹。試合後のインタビューでは涙に目を潤ませながら、「上のステージでもエンターテインメントできるように頑張ります」と力強く語った

 11月13日に開幕した第41回明治神宮大会が18日、幕を下ろした。

 アマチュア野球の全国大会はこれですべて終了し、来春行われるスポニチ大会(社会人野球)まで長い冬籠りの時間となる。

 さて神宮大会・大学の部は、締め括りに相応しいフィナーレとなった。早稲田大が、3人のドラフト1位投手による豪華リレーで難敵の東海大を2対1で退けたからである。

 先発・福井優也(広島1位)が6回を5安打7三振1失点、2番手・大石達也(西武1位)が2回を0安打5三振、そして3番手・斎藤佑樹(日本ハム1位)が最終回を0安打2三振で切り抜け、早大に大会初優勝をもたらした。

貧打の早大打線を補って余りある“ドラ1”投手三人組。

 今大会3試合で10得点だった早大打線は、リーグ戦(優勝決定戦を除く)では12試合戦い(全45得点)、平均得点3.75しかもたらさなかった。東大戦を除く9試合では平均3.22という得点力のなさである。その打線の弱さを3人の投手陣はみごとに補い、安定感はこの神宮大会でも十分に発揮された。

 福井は最速150キロを超えるストレートを効果的に使い、勝負球のスライダーを一層際立たせた。

 ストレートで目立ったのは内角攻め。とくに迫力があったのは3回表、東海大の切り込み隊長・伊志嶺翔大(ロッテ1位)を空振りの三振に斬ってとった球だ。

 外角ばかりを7球続けて直・変化球で攻め、カウント2-3からの8球目だけが内角のストレートという配球。

 神宮球場のスピードガンは「149」を表示し、その威力はイヤイヤをするようにバットを振る伊志嶺の腰砕けの姿に反映されていた。

 福井は済美高時代、左肩が早く開くフォームが災いし、右打者の内角を突けなかった。

 その悪癖は早大入学後もつきまとい素質開花の妨げとなっていたが、ラストシーズンの今秋、悪癖はついに姿を消した。ブレーキの利いた縦割れのスライダーとともに、プロ入り後の福井を支える1球になることは間違いない。

【次ページ】 大石を出しておけば間違いない、というくらいの信頼感。

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斎藤佑樹
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