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「斎藤世代」だけじゃない!!
ドラフトの目玉はPLの吉川大幾。 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/06/23 13:10

「斎藤世代」だけじゃない!!ドラフトの目玉はPLの吉川大幾。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 スカウトの声が弾む。

 噂の選手の姿を目の当たりにしたからだ。

「澤村はいいよぉ。この前、観てきたんだけど、157キロだよ。神宮最速だって。終盤でも150キロ出ているし、変化球も切れのある球を投げる。あの選手は本当にいい投手だ」

「斎藤? 大学生で神宮を満員にできる投手がどこにいる? すごいことだよ。ダルビッシュのようになるというのは難しいかもしれないけど、彼の持っているものからすれば、ローテーションを守っていくだけの力はある。それに、集客力とかも考えたら……球団にもたらす影響は計り知れない。そういう面で選手を評価することも悪くない」

 スカウトの多くが来たるべき、「斎藤世代」のドラフトに大きな期待を寄せている。

 斎藤佑樹、大石達也、澤村拓一……。

 来年の春に大学を卒業する「斎藤世代」には、とにかく優れた投手が多い。

“BIG3”の他にも逸材投手が揃う「斎藤世代」。

 ご存じ早大の斎藤佑樹に大石達也、中央大の澤村を加えた3人は、BIG3といっていい。この他にも、斎藤、大石と同じ早大の福井優也は、ストレートで最速152キロを記録している。法政大の加賀美希昇(かがみ きしょう)は恵まれた体格からの迫力満点の投球が特徴。佛教大・大野雄大はプロからの需要が高い左腕にして速球派だ。鹿児島工時代、斎藤とともに甲子園を沸かせた榎下陽大(えのした ようだい/九州産業大)も、着実に成長を遂げドラフト上位候補と噂されている。

 中央球界だけでなく、全国へと目を向けると、さらに多くの逸材投手が出てくるのだ。

 斎藤、大石、澤村のトップクラスを指名重複して外れたとしても、その保険となる投手も見劣りしない。となれば、スカウトとしての仕事は容易いものになる。声が弾むのも無理はないのだ。「斎藤世代」という言葉に歩調を合わせて、大学生の、しかも、投手を指名しておけば、スカウトの役割はそれで片が付く。

 しかし……。

 この春から夏にかけて、大学野球だけでなく、高校野球、そして、プロ野球を併せて観ていて、ふと気付いたことがあった。

 今年の新人にして、さっそくプロでの活躍を見せる3人の選手を目の当たりにしたとき、プロが求めているイマドキの人材の特徴が浮き出ていると気がついたのだ。

【次ページ】 今のプロ野球には「右打ちの野手」が求められている。

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