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斎藤、大石、澤村に続く逸材を紹介。
来季ドラフトも大学生投手が大豊作!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/12/06 10:30
10月22日、亜大を2安打完封した東洋大の藤岡貴裕投手。亜大・東浜とのエース対決を制し、3試合連続、今季5度目の完封を達成した
今年は大学生投手の当たり年で、ドラフトでは斎藤佑樹(早大→日本ハム)、大石達也(早大→西武)、福井優也(早大→広島)、澤村拓一(中大→巨人)、塩見貴洋(八戸大→楽天)、大野雄大(佛教大→中日)の6人が1巡指名されている。
この大学生投手の勢いは今年にとどまらず、来年も続いていく。
現3年生にどんな選手がいるのか早速見ていこう(成績はリーグ戦の通算成績)。
中根佑二(東北福祉大)……14勝1敗、防御率0.88
野村祐輔(明大)……………19勝8敗、防御率1.61
内山拓哉(東洋大)…………7勝0敗、防御率1.27
藤岡貴裕(東洋大)…………16勝6敗、防御率1.39
菅野智之(東海大)…………26勝2敗、防御率0.61
中後悠平(近大)……………11勝6敗、防御率1.49
各大学リーグを代表する好投手たちの特徴とは。
中根が所属する東北福祉大は今秋、“投手王国”と呼ばれる分厚い選手層を誇り、とくに4年生に優秀な投手が多かった。桑鶴雄太、森山一茂、石山泰稚、柳沢一樹という面々で、森山、桑鶴は技巧色の強い左右投手、石山、柳沢は完成度こそ劣るがストレートの速さや、プロ好きのするスケール感で2人を上回っていた。そういう多彩な特徴を持つ4人の先輩を差し置いて中根は、今春が5勝0敗でMVPとベストナイン、秋が5勝0敗でベストナインを獲得するなど圧倒的な存在感を発揮した。
東洋大の内山は1年春に早くも7試合に登板し、3勝0敗の好成績を残している。13イニングで被安打5、奪三振17の内容をみればリリーフでのデビューだったことが一目でわかる(リリーフは今秋まで続き、最上級生になる来季は先発への転向が予定されている)。下に叩きつけるような腕の振りのサイドスローに特徴があり、ストレートの最速は151キロ。たまに投ぜられる横変化のスライダーも威力があり、通算防御率1.27に威力の片鱗がうかがわれる。
近大の中後は横の角度に特徴があるサイドスローの左腕。これだけでも打者を戸惑わせるが、ストレートの最速が150キロと速く、攻略をさらに困難にさせている。全日本代表選考合宿の紅白戦では、東洋大の好捕手・佐藤貴穂でさえミットの芯で捕りきれないほどストレートがベース近くで伸びた。これに変化の大きいスライダーとカーブが組み合わされることになるのである。世界大学選手権ではキューバ戦を含む3試合に登板し、失点0に抑えている。