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吉田麻也が痛恨の4失点を語った。
技術、集中力、そしてスアレス。  

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/08/19 12:10

吉田麻也が痛恨の4失点を語った。技術、集中力、そしてスアレス。 <Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ウルグアイ戦の前には「日本人やアジアのFWが持っていない感覚を持っている」とスアレスに対して誰よりも強い警戒心を持っていた吉田だったのだが……。

VVV時代から、常にスアレスを気にしていた吉田。

 吉田はかねてから、スアレスを常に頭の片隅に置いていた。それは昨季、プレミアの舞台で戦った時期よりもずっと前からである。吉田がオランダのVVVに移籍した頃、スアレスはアヤックスでプレーしており、エールディビジを代表するストライカーだった。そんな彼のプレーを、吉田は毎試合映像でチェックしていた。当時から「スアレスはヤバい。こういうFWは、すごくいやらしい存在なんだけど、是非対戦してみたい」と話していた。

 ここ最近はクラブでのリーグ戦で相まみえることも多くなってきている。プレミアの舞台では今年3月、サウサンプトンはリバプールに勝利し、吉田も要所でスアレスをストップする好守備を見せていた。それだけに、今回の対戦が悔やまれる。結局、プレミアよりも多くの日本人が注目する今回の代表戦で、自らのミスから彼に失点を喫してしまった――。

組織的プレーを得意とする吉田が、ザックジャパンで苦しむ理由。

 現在、代表での吉田に対して、批判や厳しい意見が多く飛んでいる。そんな中、あらためて吉田を長年見続けてきた立場として、彼の現状について客観的に語りたい。

 吉田は、大前提として組織のなかで生きるDFである。それは日本人的な選手とも言い換えることができ、統率された連係の中で、SBやボランチら味方と助け合いながら相手をしっかり封じることを得意とし続けてきた。かつて吉田とともにプレーした名古屋のGK楢崎正剛も、先日こう語っていた。

「闘莉王は日本人離れした守備力というか、個人で守り切るタイプ。麻也もいまはそういうCBになろうとトライしているのだろうけど、元々のあいつのプレーはそうではない。組織的な守備の中で、能力を発揮するタイプだから」

 ただ、ここ最近の日本は、コンフェデや今回の試合でもわかるとおり、組織的な守備が影を潜めている。それは強豪相手に、より攻撃的に打って出ていることの弊害なのか、それとも個々の選手の守備意識の欠如なのか、問題は複雑に絡み合っているようだが……とにかくチームとしての守備が機能していないことは事実だ。

 組織で守ることを得意とする吉田が、リズムよくプレーできない状況の中、相手の勢いに流されてしまい、ミスを犯す……。そんな負のスパイラルから、いまの彼は抜け出せずにいる。

 彼は欠点がないCBではない。スピード不足は顕著であり、いまでも身体能力で相手に上回られる瞬間が多々ある。さらに集中力の問題も挙げられる。本人はそこを強く意識し、当然改善に取り組んではいるものの、周囲にそれを信用してもらえないほどの“ポカ”を繰り返してしまっている。

【次ページ】 パスミスではなく、クリアミスだった3失点目。

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