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マリノス栗原勇蔵にみる、成熟の証。
ザックジャパンでレギュラー獲りへ!?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2010/11/03 08:00
身長は184センチある栗原。喧嘩っ早い部分も含めて精神的な強さは折り紙つき! 頼れるDFになってきた
今、最も旬なセンターバックといえば、栗原勇蔵を措いて他にあるまい。
ザックジャパンの初陣となったアルゼンチン、韓国との2連戦に先発して無失点で乗り切り、横浜F・マリノスでも、失点数の少なさはリーグ3位の28(10月31日現在、1位は鹿島アントラーズとセレッソ大阪の26)と好調を維持。中澤佑二がケガで離脱しているなか、栗原の安定したパフォーマンスがマリノスの堅守を支えている。
持ち前の身体能力の高さに加えて、判断力も成熟。
今年に入ってからの栗原には、明らかにひと皮むけたという印象を持つ。
「ジャンプ力とスピードは日本人離れ」と前代表監督の岡田武史が評したように、栗原は世界にも通用すると言われる身体能力ばかりが注目されてきたが、今や判断力やカバリングの成熟にこそ目を見張るものがある。中澤佑二、松田直樹、小椋祥平とそれぞれ違うタイプの3人とセンターバックでコンビを組みながらも、パートナーの特徴に合わせながら臨機応変かつ、判断力とカバリングを活かしてプレーしている。
アルゼンチン、韓国との2連戦は、栗原の成長を世に知らしめるものとなった。今野泰幸と急造コンビを組み、チャンスとみるやボールを積極的に奪いに行く「動」の今野に対し、栗原は極力飛び込むことを避けて「静」で応対した。栗原がどっしりと構えることによって最終ラインが乱れなかったことは、ゴールを割られなかったひとつの要因だろう。
コンビを組むセンターバックの動きを見ながら、カバリング、バランスに対する強い意識を持ってのプレー。まさに今の栗原の魅力がそのまま発揮された2連戦だったと言える。
4月7日のセルビア戦での苦い経験を糧に。
この躍進の背景には4月7日、0-3で敗れたセルビア戦の反省がある。栗原は“第3のセンターバック候補”として岡田監督に呼ばれて先発で起用されたのだが、速いロングボールを入れられて先制点を献上してしまった。
もちろん栗原だけに非があるわけではないが、その責任を取らされるように前半だけで交代させられた。苦い経験だった。