日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
マリノス栗原勇蔵にみる、成熟の証。
ザックジャパンでレギュラー獲りへ!?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2010/11/03 08:00
身長は184センチある栗原。喧嘩っ早い部分も含めて精神的な強さは折り紙つき! 頼れるDFになってきた
中澤を見習い、熱くなり過ぎないプレーを身につけた。
栗原は語る。
「あのときはもうガムシャラというか、深く考えることなく(ボールを取りに)前に行こうとばかりしていた。そうなると周りと合わなくなってくる。それに、この場面なら味方のカバーが来ると思っても、代表になるとマリノスでやっているときとは少し違ってくる。そういう微妙なズレがあるから、慣れてないときは自分の場合、行くよりも行かずに対処したほうがいい。そう思うようになった」
ボールを取りに行くことに勇気はいる。しかし行かないことにもまた勇気がいる。前を向かれて、ズルズルと下がってしまえば意味がなくなる。韓国戦ではエースのパク・チュヨンらアタッカーになかなか前を向かせない栗原のポジション取りが奏功して、決定的なチャンスを数多くつくらせなかった。
栗原は今季のJリーグでもポジション取りが的確で冷静に対処できているため、ファウルが少ない。
イエローカードはまだ2枚。これは毎年、警告数の少ない中澤佑二のプレーに影響を受けていると言える。
高校時代はケンカ三昧で、卒業後も世界ユース選手権の壮行試合となったオーストラリア戦で乱闘騒ぎを起こすなど、プロになりたての頃は“武闘派”のイメージが強かったものの、最近は熱くなりすぎて冷静さを失うようなシーンを見ることはなくなった。
マリノスが築いてきた代表CBの系譜を受け継げるか?
ザッケローニは縦に速い攻撃を志向しており、GKや最終ラインからのフィード、キック力も攻撃には欠かせない。この点、松田直樹を身近な手本として磨き上げてきた栗原のフィード、キック力は大きな武器となる。だが、栗原本人はあくまで本分が守備であることを強調する。
「自分の考えるセンターバックというのは、後ろから組み立てることも大事だけど、自分の本職は守備だし、そこは頭に入れておかなきゃならない。組み立てばかり考えるなら、ボランチがセンターバックをやればいいということになってしまう。極端なことを言うと、攻撃は前のポジションの人に任せておけばいい。自分にとって大事なのは、守備のところでしっかりと闘うこと」