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マンUで相次ぐ大物獲得の噂――。
2年目香川、トップ下起用の可能性。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2013/07/31 10:30

マンUで相次ぐ大物獲得の噂――。2年目香川、トップ下起用の可能性。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

チームには日本での横浜F・マリノス戦前の7月22日から合流し、26日のセレッソ大阪戦で凱旋ゴールを決めた。

「万能」のルーニー、「一芸」の香川。

 現役最高の国産タレントへの思い入れもあるのだろうが、ハイレベルで「万能」なルーニーに対し、トップ下の「一芸」に秀でた香川はポジション的に融通が効かないという見方もされる。しかしながら、同じ日本人としての思い入れも含めて言えば、香川はその「一芸」だけでも十分に通用するタレントだ。前述のネビルによる評価は、日本人が持つ香川観そのもの。マンU2年目は、大物ライバルの去就にかかわらず、トップ下でキーマンとなって然るべきだ。

 その鍵は、チームに加わるはずの「モイーズ色」にある。元来は堅守志向の新監督も、マンUではクラブ伝統の攻撃的な姿勢を踏襲することになる。前任地のエバートンで、モイーズのチームが見せた積極姿勢といえば果敢なプレッシングだ。勝つべくして勝った3月のマンチェスター・シティ戦など、快勝を収めた際のエバートンには、積極果敢なボール奪取が付き物だった。攻撃力が古巣とは桁違いで、ポゼッションにも長けたマンUでは、ホームゲームともなれば、ラインを上げて攻守にアグレッシブなサッカーを試みるのではないだろうか。ドルトムントほどの“ハイパー”なサッカーは想像できないが、その高エネルギーなスタイルが適していた香川には、プレッシングサッカーの前線で、ルーニーに対して一日の長がある。タイトなスペースからラストパスを通す感性と能力は、香川が上と言っても良い。

ルーニーをバックアッパー扱いしたモイーズ。

 そもそも、ルーニーの残留は想像し難い。アレックス・ファーガソン前監督が、ルーニーの移籍志願を明かした昨季末の時点で、クラブ側は売却の意思を固めていたように思える。後任のモイーズにしても、表向きは「放出はない」と繰り返しているが、ならば何故、獲得を狙う他クラブをその気にさせ、ルーニー本人は不満を募らせるだけと知っていながら、ファンペルシのバックアッパー扱いを示唆する発言をしたのか。仮に残留となっても、「トップクラスの便利屋」として活用されるに違いない。ルーニーが怪我で不在だった日本での横浜F・マリノス戦後、「よくやっていた。活躍次第で良いポジションを与えたい」と香川の印象を語ったモイーズ。「良いポジション」とは、試合前の会見で本人が「結果を出す自信がある」と語った、トップ下のことだろう。

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