野球善哉BACK NUMBER
オリックス救援陣の直球はなぜ速い?
本屋敷トレーニングコーチの存在価値。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/07/29 13:00
選手を指導するオリックス・本屋敷コーチ(左)。自身初となる公式サイト( http://shunsukemotoyashiki.com/ )もこの6月から公開となり、選手とはまた違った視点でチームの雰囲気を伝えている。
うなる速球――。
登板する投手が軒並み150キロ台のストレートを投げ込んでいる。
リーグ屈指のクローザーに成長した平野佳寿を筆頭に、オリックスの救援投手陣のストレートがうなっている。
「負けないようにというのは、チームメイトなのでおかしいかもしれないですけど、みんな速い球を投げるんで、自分もっていう気持ちはあります」
そう語るのはオリックスのルーキー・森本将太である。
174センチと小柄ながら、150キロの快速球を持ち味とする森本は、今季、オリックスの救援陣の一人として定着した。岸田護、佐藤達也、平野で構築する勝ちパターンのリリーフ投手ではないが、7月27日の西武戦では4回から登板し、1回2/3を無失点に抑えて今季2勝目を挙げている。
クローザー・平野のストレートはすでに球界内で認知されているし、平野とともにオールスターに出場した佐藤は、上背はそれほど大きくないにも関わらず、150キロ台のストレートを連発している。昨季途中までストッパーを務めていた岸田は、一時期ほどではないとはいえ、140キロ後半の切れのある球を投げている。21歳と若い森本は力強く腕を振って150キロ、右サイドハンドの比嘉幹貴もストレートは140キロ後半を計測する。
なぜ、オリックスの救援陣はこれほど速いストレートを投げる投手が揃っているのだろうか。
選手の持っている素質を最大限引き出すためのトレーニング。
ブルペン陣を支える陰の存在がいる――。
そんなことを思ったのは、本屋敷俊介トレーニング兼コンディショニングコーチの話を聞いたからだった。
「速い球を投げるのは基本的には選手の能力ですよ」と前置きした上で、本屋敷コーチは、その理由の一端をこう説明してくれた。
「個々の選手の力が最大限出せるようになるトレーニング法を取り入れています。例えば、10の力を持っている人には、それを出し切れる身体の使い方がある。分かりやすくいうと、伸張反射といって、高く飛ぼうとするときに一度、しゃがむじゃないですか。筋肉を伸ばして縮めるというこの動作を上手くできる人がパワーを発揮できているんです。佐藤は、背は小さいですけど、あれだけ速いボールが投げられるのは、彼の持っている力が最大限に引き出せているからなんです。そういった考え方が定着してきているというのはあります」