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コンフェデで出場時間0分の屈辱。
酒井高徳があと1年でできること。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2013/07/11 10:31
ドイツカップ決勝、トーマス・ミュラーと競り合う酒井。67分からの途中出場ながら1アシスト。コンフェデ杯から帰国後、来シーズンについて「1試合でも多く出て、ゴールやアシストを決めて目に見える結果を残すことが代表へのアピールになると思っている」と語った。
左足でクロスを上げた時は弾道がいい。
左サイドから左足であげるクロスについて、酒井に話を聞いたことがある。
今年の3月30日、日本代表の試合で2試合続けて左サイドバックとして先発した直後、ドイツに戻って迎えたドルトムントとの試合。酒井は久しぶりに左サイドバックとしてスターティングメンバーに名を連ねていた。
「自分としては左サイドのほうがやりやすいということは、通訳さんを通じて言ってもらっていました。僕は左利きではないんですけど、最初に左で持つとそこから右足で中に切り込めるので、相手にボールを取られない安心感がすごくあるんです」
そして話はクロスにも及んだ。
「左の方が視野の確保の仕方とかしやすいし、左足で蹴ると無駄な力が入らないんです。例えばクロスを入れるときとかでも右足だと力を入れて思いっきり蹴っちゃうんですよ。だから、こういう(山なりでカーブがかかりすぎてゴールラインを割ってしまうような)軌道なんですけど、左足でクロスを上げた時は弾道がいいというか。力があんまり入ってない分きれいな弾道でいく。力んでないのがいいのかな」
酒井が攻撃面で貢献できる可能性は大いにある。
14試合で5アシストを記録した昨シーズン、終盤戦こそ右サイドバックとして起用されたが、そもそもレギュラーをつかんだのは左サイドバックの選手としてだった。つまり、右で出場する機会が多かった今季、昨シーズンのような活躍をしていなくても、日本代表の左サイドバックで出場する機会が与えられれば、酒井が攻撃面でチームに貢献できる可能性は大いにあったのだ。
クラブでは多くの試合に出場したものの、6月のブラジルでは1分もプレーすることなく、酒井のシーズンは終わった。
このオフには1件、スポンサーのイベントに出ただけで、あとは実家のある新潟で静養に努めている。今は'12-'13シーズンの疲れを癒し、良い状態で来シーズンに入っていくことだけを考えている。
'12‐'13シーズン、酒井が所属するシュツットガルトでプレーしたのは41試合。ヨーロッパでプレーする日本代表選手の中で、最も多い出場試合数だった。
しかし同時に酒井は、ヨーロッパでプレーする日本代表選手の中で“唯一”コンフェデレーションズカップでプレーする機会を得られなかった選手になってしまった。
この悔しさをいかに、未来につなげるか。
それが今の酒井に必要なことなのだろう。