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セレッソ優勝争いの立役者!
家長昭博の野望は4年後も捉える。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2010/09/24 10:30
ガンバからのレンタル移籍期間は来年の1月31日までの家長。今季終了後、ガンバに戻るのか否か?
専門外のボランチでの経験がプレーの幅を広げる契機に。
「チームが、みんな若いんで、楽しくサッカーができる」と、笑みを浮かべていたが、春の合宿中に右膝前十字靭帯損傷の大怪我を負う。
シーズンの半分を棒に振り、わずか4試合の出場に終わった。
人生で初めて長期間サッカーができなくなった家長。「サッカーができない辛さ」を骨身に染みるほど味わうこととなった。大分のスタッフが献身的にリハビリを手伝ってくれることに感激し、改めて自分一人でサッカーをやっているわけではないと気づいた。ガンバ時代、自分の世界観だけで好きなようにサッカーをしていた家長は、徐々に変化し始めていた。
次に大きく変化したのは、2009年シーズンだった。
期限付き移籍を1年延長した大分で、序盤こそサブメンバーだったが左ウイングバックとしてレギュラーを獲得し、シーズン後半はボランチとして起用された。ボランチのポジションにつくことにより、家長は全体を俯瞰し攻守においてうまく周囲を使い、自分を生かすプレーをより考えるようになった。もっともポジションについては「試合に出られるのはうれしいけど、(ポジションは)ちょっと違うでしょと思っている」と、複雑な気持ちを言葉にしていた。だが、このボランチの経験はプレーの幅や視野を広げる意味で、大きなポイントになったのである。
セレッソに移籍した今季は本来の持ち味を十分に発揮。
2010年、セレッソ大阪への移籍は、家長の意識をより前向きにする機会となった。
シーズン序盤は、大分の時と同様にサブだった。
だが4月18日、湘南戦からチームが4-2-3-1にシステムを変更すると、家長はレギュラーとして試合に出始めた。香川真司、乾貴士、清武弘嗣らと奏でる高い個人技に裏付けられた攻撃的なサッカーは、家長の持ち前の突破力と大分で習得した展開力の両方をうまく引き出すことになった。
「前の選手は状況によって、それぞれがいろいろ変化しながら対応できている。それが、すごく楽しい。それに勝てているんで、すごく充実感もありますね」
家長から「サッカーが楽しい」という言葉が漏れるのも、実は、ここ数年はなかったのだ。
試合に出られなかったり、出ても本来のポジションでなく自分のプレーができなかったり……自分が楽しめる環境になかなか巡り合うことができなかった。だがセレッソでは、それぞれ異なる高い才能の持ち主が前線に集まり、質の高いサッカーをやれている。
しかも、そのサッカーで勝てているのだ。