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セレッソ優勝争いの立役者!
家長昭博の野望は4年後も捉える。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2010/09/24 10:30
ガンバからのレンタル移籍期間は来年の1月31日までの家長。今季終了後、ガンバに戻るのか否か?
「10点以上取らないと今のポジションでは満足できない」
香川真司が南アフリカW杯後、ドイツのドルトムントに移籍した後、セレッソは家長中心にシフトチェンジした。そこから家長は、よりチームのためにという意識を強めていった。
「真司が抜けてダメになったと言われたくないし、自分が中心になってやっていかないとダメだって思いました。そのためには自分も生かしつつ、味方も生かす。チームの勝利のために、そういうメリハリのある攻撃を考えるようになりました」
自分が攻撃の中心であることを自覚し、その意識が彼のプレーにまたひとつ変化を与えた。さらに勝利に直結するゴールを決める仕事を重視するようになったのだ。だが、なかなかゴールを奪えず、「点が取れなくて凹んだりしましたね。早く1点取りたいって、すごく思いました。自分が点を取れば勝てる可能性はグンと高まりますからね」と、焦りの表情を見せていた時もあった。
7月14日、広島戦でようやく今季初ゴールを上げた。
「長かった。ようやくという気持ちです」
今やチームは優勝争いまでを演じるようになり、家長は快進撃を続けるチームの象徴になった。
「自分が試合に出てから負けるというのだけは嫌だったんで、そういう意味じゃちょっとはチームのためにやれている感はあります。でも、自分としては、まだまだ物足りない。ゴール数も少ないし、10点以上取らないと今のポジションでは満足できない」
ユース時代の同期である本田圭佑の活躍が大きな刺激に。
質の高いサッカーを追求する姿勢やゴールに対する貪欲さを家長は、隠そうとしない。
それは、日本代表に向けても同じだ。
「それは、やっぱり、南アフリカW杯の影響が大きいです。圭佑の活躍もそうだし、ものすごく刺激を受けた。自分もW杯に出て、もっと成功したいと思った」
南アフリカW杯では、ガンバ・ジュニアユース時代の同期である本田圭佑が大活躍。その姿が眩しくも羨ましくもあった。「今度は自分が」という思いが強まり、海外挑戦に向けての気持ちも一層高まった。そのモチベーションが自らを駆り立て、セレッソでの活躍へと繋がっている。
「自分はガンバ、大分と何も結果を残せてないし、国際舞台でも何もやれていない。でも、今はやれる自信がある。セレッソで結果を出して、代表に入ってブラジルW杯に行く。もう若手でもないんで、いい加減やらないと。そういう気持ちでやっていきます」
ガンバ戦後、スタジアムのロビーでは愛息が待っていた。戦士だった表情は、優しい父親に変わった。今年は淡路島に行ったり、W杯休暇ではハワイに行くなど、家族との時間を大切にしている。こうした私生活の充実も家長が活躍する原動力になっている。
チームの主力として自覚を持ってプレーし、代表へのモチベーションも高い。2004年からスタートしたプロ生活で、家長は最も充実したシーズンを送りつつ、今まさにブレイクする瞬間を迎えようとしている。