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アトランタのブラジル戦を思い出せ!
メキシコ戦こそ“結果が全て”な理由。  

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/06/21 12:50

アトランタのブラジル戦を思い出せ!メキシコ戦こそ“結果が全て”な理由。 <Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

「PKでの得点しかないということもしっかり受け止める。またデカいことを言えるように準備していきたいと思います」と試合後に語った本田。この反省がメキシコ戦でどう反映されるのか、期待したい。

「ディエゴ・アバル」という審判名を覚えておくべき。

 果たして、主審は見事なまでにバランスを取った。

 後半7分、彼は日本ゴール前のペナルティスポットを指差した。

 シュートブロックに入った長谷部誠の右腕にボールは当たっている。しかし、故意ではないし、それがイタリアの得点機を阻止したわけでもない。ボールが腕に当たったとしても、PKかどうかは見解が分かれるシーンだったと思う。この試合で生まれた7つのゴールのひとつに、僕は主審の作為を感じるのである。

 アルゼンチンからやってきた主審は、ディエゴ・アバルという。来年のワールドカップに向けて、覚えておいたほうがいい名前かもしれない。

負けたのに「良くやった」と言われることについて。

 イタリア戦が終わった直後から、「Muito bom」と言いながら笑顔を向けてくる人に、それこそ何十人と会っている。カタカナで表記すると「ムイト・ボン」となるポルトガル語は、英語にすると「ベリー・グッド」だ。ホテルのフロントマンも、レストランの店員も、タクシーの運転手も、空港のカフェで隣り合わせた夫婦も、「日本は良くやった。イタリアはダメよね」と、我々の代表チームを誉めたたえてくれた。

 そう言ってもらえて悪い気はしない。けれど、日本は負けたのだ。“ダメなイタリア”に2点のリードを追いつかれ、同点に持ち込みながらも最後に突き離された。

 きわめつけのスリルと興奮を提供した一方で、勝点3をイタリアにさらわれた事実を個人的に無視できない。ブラジルの人々の称賛を、素直に受け入れられない自分がいる。

 負けたのに「良くやった」と言われるのは、ザック率いるチームが負けると思われていたからに他ならない。日本がどれぐらいのレベルなのか、どんなサッカーをするのかといって基本情報を持っていないゆえに、「なんだ、意外にやるな」という驚きをもたらしたのだと思ってしまう。温かな労いに上から目線を感じてしまうのは、ひねくれ過ぎだろうか。

「メキシコ戦は非常に大事だと思います」

 20日午前のメディア対応で、長谷部がこんな話をしている。

「イタリア戦で示すことのできたサッカーを続けてやっていくためにも、次のメキシコ戦は非常に大事だと思います」

 累積警告でメキシコ戦に出場できないキャプテンの思いを、ベテランの遠藤保仁が引き取る。

「自分たちには無駄にできる試合はひとつもない。負けていい試合もない。こういう大会で自分たちの戦い方をしっかり見せる意味でも、メキシコ戦は大事な試合になる。どういうメンバーであれ、イタリア戦以上のゲームができれば、と思う」

【次ページ】 ブラジル人が今でも語り継ぐ、アトランタ五輪の敗戦。

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