日本代表、コンフェデ道中記BACK NUMBER
アトランタのブラジル戦を思い出せ!
メキシコ戦こそ“結果が全て”な理由。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/06/21 12:50
「PKでの得点しかないということもしっかり受け止める。またデカいことを言えるように準備していきたいと思います」と試合後に語った本田。この反省がメキシコ戦でどう反映されるのか、期待したい。
取材の終わりが、近づいてきた。
日本代表のグループステージ敗退が決まり、仕事にひと区切りをつけた20日早朝に慌ただしく帰国の準備に取りかかった。メキシコ戦後となった帰国便の変更や、新たなホテルの確保などは、すべてインターネットで処理できる。電話線を使う“ダイヤルアップ回線”で原稿を送り、現地の旅行代理店に何度も出かけた1999年のパラグアイでのコパ・アメリカが、何とも懐かしい。
今回、危険なエリアとも知らずに泊まったレシフェの旧市街のホテルは、意外なほど快適だった。従業員はとびきりにフレンドリーで、徒歩圏内に大衆的なレストランやスーパーもあった。U-21ヨーロッパ選手権やW杯アジア最終予選の韓国対イラン戦などを、ライブでTV観戦することもできた。
唯一と言っていい不満は、1999年よりはましとはいえ、通信環境の不安定さだった。日本なら10分ほどで終わるはずの作業に、30分は費やしてしまう。帰国便の変更やホテルの予約にも、実は相当な時間がかかった。
イライラと疲労感が積み重なり、パソコンの前で待つ時間が倍以上に感じられる。点けっぱなしの現地のテレビは、19日の試合後から日本対イタリア戦の分析を繰り返し流していた。
アルゼンチン人の主審だって? 僕はちょっと胸騒ぎを覚えた。
結果論を承知で書いておきたいことがある。
日本対イタリア戦をアルゼンチン人の主審がさばくと知ったとき、僕はちょっとたちの悪い胸騒ぎを覚えた。
ホーム&アウェイの文化でもまれている南米の主審は、良くも悪くもバランス感覚に優れている。分かりやすいのはPKだ。どちらか一方に与えたPKは、相手側にも同じ機会を提供するとのシグナルになりがちである。
岡崎慎司が獲得したPKは、正当なものだった。ブッフォンのスライディングは、ボールより先に岡崎の足を刈り取っている。
ただ、本田圭佑がPKを決めたのは前半21分である。残り時間があり過ぎる、と思った。香川真司がスーパーな左足ボレーを決めても、僕はなお不安に苛まれていた。