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NL大混戦と2枚のワイルドカード。
~プレーオフを白熱させる新提案~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2010/09/12 08:00
名将ボビー・コックス監督のラストイヤーでもあるアトランタ・ブレーブスが、フィリーズとしのぎを削る。リーグ優勝かワイルドカード獲得は可能性大
地区優勝の重要性が増し、終盤戦が白熱するメリットも。
ここから先は、従来のプレーオフと同じだ。勝ったチームは、ディヴィジョン・シリーズ(DS)で地区優勝の3球団中最高勝率のチームに戦いを挑み、さらなる高みを目指す。
この仕組みのキモは、最初の1本勝負でエース投手を登板させてしまったワイルドカード球団が、DSで不利な立場におかれることだ。つまり、ワイルドカードでのプレーオフ出場は、以前に比べて大きなハンディキャップを背負うことになる。逆にいうと、各地区の優勝争いはいまよりもずっと激しくなる。
たとえば今季、プレーオフの指定席を早々と獲得したヤンキースやレイズの場合を考えてみよう。彼らにしたところで、AL東地区を制覇するとしないとでは将来のシナリオが大きく変わってくる。つまりこの方式を採用すれば、消化試合が増えてダレがちになる終盤戦も、緊張感を維持することが期待されるのだ。
どうだろうか。大リーグがワイルドカード方式を採用したのは、野茂英雄が渡米した1995年のことだった。あれからすでに15年の歳月が流れている。システムとはなんでもかんでもいじくりまわせばよいというものではないが、今季終盤のNLの大混戦はひとつのヒントだ。まあ、このまま進めば、最終戦で複数球団の勝率がまったく同じになる可能性もなくはないのだが……。