スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
NL大混戦と2枚のワイルドカード。
~プレーオフを白熱させる新提案~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2010/09/12 08:00
名将ボビー・コックス監督のラストイヤーでもあるアトランタ・ブレーブスが、フィリーズとしのぎを削る。リーグ優勝かワイルドカード獲得は可能性大
9月になった。今季の大リーグも大詰めが近づいてきた。
赤面しながら振り返るが、今季開幕前に私が立てた予想は惨憺たる結果に終わりそうだ。
両リーグとも西地区の予想が大きく狂った。アメリカン・リーグ(AL)の優勝候補に挙げたマリナーズは地区最下位にあえいでいるし、ナショナル・リーグ(NL)のドジャースも勝率こそ5割を維持しているものの、ワイルドカードにさえ届きそうもない。ちょっと威張れるのはレッズとブレーヴスの躍進を予想したことぐらいだが、パドレスやレンジャーズは完全に無印だった。
NLの優勝争いは大混戦。プレーオフに駒を進めるのは?
では、今季のポストシーズンはどうなるのか。
ALに関しては、もはや4球団が決まったも同然だろう。東地区のヤンキースとレイズが6割超の勝率を残しているからだ。
一方のNLはまだまだ混戦が続きそうだ。東地区ではフィリーズとブレーヴスが僅差で競り合い、西地区でもパドレスが急停車して、ジャイアンツに勝機が見えてきた。この4球団のうち3球団が、中地区のレッズと並んでプレーオフの出場権を得ることはまずまちがいない。ただし、汗牛充棟を思わせるひしめきようを見ると、どこが落ちるかはまったく予断を許さない。
ワイルドカードを2枚にして、一発勝負の緊迫感を!
そこで私は、ひとつ提案してみたい。
現在は各リーグに1枚しか認められていないワイルドカードを、2枚ずつに増やしてはどうだろうか。
つまり、地区優勝の3球団以外に、勝率上位の2チームをプレーオフに進出させるのだ。
え、5球団も出てきたら、プレーオフの対戦方式はどうなるのだ? という声はもちろん聞こえてくる。が、解決策はそうややこしくない。
最初につぶし合いを演じるのは、2枚のワイルドカード球団だ。これはWBC同様、1本勝負でいいだろう。2戦先勝の3本勝負では、ただでさえ長いポストシーズンがもっと長くなるし、乗るかそるかの緊迫感も薄れてしまう。それならば昨シーズン、最後の最後で盛り上がったツインズ対タイガースのワンゲーム・プレーオフ(AL中地区の優勝決定戦)をモデルにするほうが賢明ではないだろうか。