Jリーグ観察記BACK NUMBER
大東Jリーグ新チェアマンへの提言。
まず初めになすべき改革はこれだ!
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byToshiya Kondo
posted2010/08/14 08:00
鹿島アントラーズ社長時代の大東和美氏。元ラグビー日本代表で、現在も日本ラグビーフットボール協会の評議員を務めている
やはりトップが替わると、新たな風が吹くのを期待したくなるものだ。
2010年7月29日、Jリーグのチェアマンが鬼武健二氏から、大東和美氏に交代したことで、メディアでも、サポーターの間でも、新たなJリーグ像をめぐる議論が活発になっている。
スポーツ新聞では、Jリーグの上位8~10チームによる「プレミアリーグ構想」が検討されていると報道された。また、マンネリ打破のカンフル剤として「2シーズン制」の復活を求める声も根強くある。シーズンの最後に前期王者と後期王者がタイトルをかけて争えば、一定の盛り上がりは保証されるからだ。
ただし、そういう大枠のテーマよりも、Jリーグには早急に取り組まなければいけない問題がひとつある。
それは「Jリーグ実行委員会」の改革だ。
「Jリーグ実行委員会」とは各クラブの社長または理事長で構成される、リーグの運営・経営戦略・制度改革といった重要なテーマを議論する最高決定機関である。川淵三郎氏(現日本サッカー協会名誉会長)がチェアマンのときに「実行委員会」の機能が強化され、決定権がJリーグ協会より上に設定されるようになった(実行委員会は、J1とJ2それぞれにあるが、ここでは話をシンプルにするためにJ1に話を限定する)。彼らの発想力と決断力が、Jリーグの未来を握っている。
様々な改革案を生かすための「日本版G-14」の導入。
しかし、鬼武チェアマン時代、この「実行委員会」は機能しているとは言えなかった。
J1は18チームに増え、もはや全員を満足させられる改革案など存在しないだろう。また、専門知識が豊富な社長もいる一方で、自分のクラブ経営で精一杯の社長もいる。その結果、新しいアイデアが出づらくなり、大胆な改革案など期待できない集まりになりつつあった。
今年春、あるクラブの社長がこう嘆いていた。
「鬼武さんは実行委員会が機能不全に陥っているにもかかわらず、メスを入れなかった。川淵さん時代のやり方が合わなくなっていたのなら、変えなければいけなかったというのに。鬼武さんは大きなミスはなかったけれど、『何もしなかった』という意味で、責任を問われなければいけないと思う」
つまり、いくら「プレミアリーグ構想」や「2シーズン制の復活」といった新しいアイデアが出てきても、それを議論する「実行委員会」がしっかりしなければ、いつまでたってもJリーグの発展のスピードは緩やかなままになってしまうということだ。
そこで筆者が提案したいのが、「日本版G-14」の導入だ。