日本代表、2010年への旅BACK NUMBER

スペイン優勝と長谷部の言葉の意味。
Jの革命なくして、代表に明日なし!! 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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posted2010/07/16 12:20

スペイン優勝と長谷部の言葉の意味。Jの革命なくして、代表に明日なし!!<Number Web> photograph by KYODO

日本サッカー協会は攻撃的な代表チームを目指す!?

 日本代表はホーム開催以外で初めてベスト16まで勝ち進むことができた。さて、次のステップに進むためにはどうするか。次期日本代表監督の候補としてチリを率いたビエルサの名前が挙がってきたところを見ると、日本サッカー協会の原博実技術委員長は日本を攻撃的なチームにすることを目指しているように思える。

「日本の選手はボールの扱いがうまい。ボールを保持しないサッカーよりも、ボールを保持するサッカーのほうが得意だろう」との風間氏の考えは、おそらく日本サッカーに携わる多くの指導者の考えを代弁している。現に本大会直前までの岡田武史監督も同じような考えでチームをつくろうとしていたし、日本の目指すべきスタイルのイメージはほぼ一致している。

オシムがジェフを土台に代表チームを作ったことの意味。

 4年前から日本は攻撃的な「日本人のサッカー」を目指してきた。日本代表では欧州組が集まって攻撃の形をつくる時代は終わり、Jリーグの選手たちでベースをつくろうとした。

 イビチャ・オシムがやろうとしたことはまさにそれであり、ジェフの選手を多くメンバー入りさせて攻撃のイメージを共有させようとしたのだ。この手法こそが「攻撃の形をつくる」手っ取り早い手段であることは、今大会を見ても十分に理解できた。岡田ジャパンが成功したからといって、絶対に見失っていけないのはここである。ジーコジャパンの失敗から得た教訓を活かそうと、オシムのもとでベースをつくれたことが大きかったのだ。

 日本代表のスタイルをクラブが取り入れる時代でなく、日本代表がどのクラブのスタイルを取り入れるかという時代なのである。

 だからこそ思う。Jリーグのスタイルは重要であり、クラブこそが日本サッカーの目指すべきスタイルを提示していかなければならない、と。各クラブがその気概を持ってチームづくりを進めていくことが、日本サッカー全体の発展につながっていくのだと思う。

次期日本代表監督にはJリーグの監督も候補に入れるべき!

 バルサはクライフが礎を築き、クラブがクライフの理念を発展させる指導者を選んできたからこそ今がある。一人の監督が素晴らしいスタイルを持ち込んだとしても、それが踏襲されなければ意味がない。クラブのフロント力も問われてくるということだ。

 だからこそ思う。日本代表の次期監督にはJリーグで日本人の特徴を活かしたサッカーを目指して結果を残している監督たちも、絶対に候補に入れるべきであると。鹿島のオリヴェイラやG大阪の西野朗らのチームづくりを検証したうえで、海外の監督に目を向けるべきではないだろうか。

 さて、W杯の余韻を受けて再開するJリーグである。今、サッカーファンの目はJリーグに向けられている。岡田ジャパンの躍進があったおかげで、日々のスポーツニュースでJリーグの話題が取り上げられるようになった。注目を浴びている今だからこそ、Jリーグをしっかりと考えておく必要がある。

 Jリーグの発展なくして、意識改革なくして、日本代表に明日はない。

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