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五輪ベスト4の快挙を生んだ
細やかな観察と情報共有。
~関塚隆氏が著書に記した哲学~ 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2013/03/19 06:00

五輪ベスト4の快挙を生んだ細やかな観察と情報共有。~関塚隆氏が著書に記した哲学~<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

『見て、話して、ともに戦え U-23世代をどう育てれば勝利に導けるか』 関塚隆著 文藝春秋 1200円+税

スペイン撃破の大金星につながった、あるエピソード。

 関塚はワンマンタイプではない。むしろ監督一人のみの「見て、話して」にならないよう注意を払ってきた。コーチングスタッフが選手たちをどう見て、何を話しかけ、どう思ったか。その情報をスタッフで共有したことも風通しの良さを保った。これが最後のキーワード「ともに戦え」にもつながってくる。

 本書ではチームの団結を象徴する、あるエピソードが紹介されている。

 五輪開幕1週間前、関塚はベラルーシとのテストマッチ翌日に練習をするか、休養を取るか、自主性を求めて選手個々に判断を任せた。結局はメディカル部門から休養を義務付けられた選手以外、全員が練習に参加してきたという。これで自然とチームの士気が高まり、スペイン撃破の大金星につながったのである。

「周りに支えられて、理想のチームになったと自負しています」

「僕を含めたスタッフの考えに、選手たちがついてきてくれて、日本サッカー協会もバックアップしてくれました。周りに支えられたうえで、自分の理想とするチームになっていったと自負しています。

 選手たちにはこれからA代表のチャンスが出てくると思います。でもあのメンバーに割り込んでいくのは簡単じゃない。だからいつ呼ばれてもいいように、成長し続けてもらいたい。ただ、あの大舞台で6試合をやったというのはかけがえのない実体験。それを胸に強く刻んでもらえたら、と思います」

 スポーツ界の体罰問題が取り沙汰されている今、「見て、話して、ともに戦え」という関塚の指導哲学が、解決策のひとつのヒントを示しているように思えてならない。

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