なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
期待の若手は加戸、中島、長船……。
アルガルベ杯で新なでしこの萌芽が。
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byAFLO
posted2013/03/16 08:01
アルガルベ杯のノルウェー戦でなでしこジャパンとしてのデビューを飾った加戸。惜しくも0-2で負けたが、そのプレーには将来を期待させるものが。
ドイツとの決勝戦を制した直後のアメリカ女子代表サーマンニ監督から、メールが届いた。
「今回の日本は、他国とは異なる目的でアルガルベ杯に臨んでいたようだね。若い選手たちにとって価値ある機会になったはずだよ」
彼が率いるアメリカは、アルガルベ杯での代表編成に当たり何人かの新顔も招集していたものの、基本的には'11年女子W杯、'12年ロンドン五輪に出場したベテラン主体のチームをまだ引っ張っている(登録メンバーにGKホープ・ソロの名がなかったのは世代交代の結果ではなく、大会直前に手首を怪我したからだ)。つまり、'11年大会以来の優勝を目指し、今年のアルガルベ杯に本気で勝ちにきていたのだ。
一方で欧州勢も7月の女子ユーロを睨み、いずれも高い完成度のチームで結果にこだわる勝負を挑んできた。
そんな中にあって、なでしこジャパンはサーマンニ監督の言葉通り、代表経験の少ない中堅や若手を大勢招集し、彼女たちに経験を積ませてチームの底上げを図る目的で今大会に出場した。
キャップ数の少ない若いなでしこ達が確認できた、世界との差。
それでも開幕前の本欄の展望原稿で「最終日の順位決定戦で顔を合わせるのは、おそらくアメリカかスウェーデンだろう」と書いたのは、ベテラン不在のなでしこでもA組で3位以下にはなるまい、従ってB組の2強であるアメリカまたはスウェーデンと最終日で対戦するはずだと予想したからだが、結果は御存じの通り、グループリーグ3位。順位決定戦で、キャップ数の少ない選手たちが世界トップレベルの強豪を相手に腕試しをする機会を逃してしまった。
とはいえポルトガルでの4試合は、なでしこの中堅、若手が現時点で世界にどれほど通用するかを確認する場として、相応に機能したと言えるのではないか。
個人的に、今大会一番の収穫は加戸由佳だったように思う。