日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
川口、楢崎、稲本、俊輔、玉田……。
“ドイツW杯組”が支えたチーム力。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoki Nakanishi/JMPA
posted2010/07/03 13:30
川口能活が語る“ベンチワーク”の重要性。
チームキャプテンの川口能活は、こう語っていた。
「欧州チャンピオンズリーグを見ていても、勝つチームというのはベンチも大喜びしている。自分はそういう雰囲気をベンチでつくりたかった。僕はプレーしているとき、ベンチを見るんです。ベンチが盛り上がっていれば、それがモチベーションになる。そういうのをやっていかないと上には行けないですから」
川口が先頭に立って、ベテランたちやサブに回った選手たちが一生懸命、盛り上げ役になったことが快進撃の支えになっていた。
誰もが虎視眈々とレギュラーを狙って練習に取り組んだ。
彼らの活躍は“ベンチワーク”にとどまらない。むしろ練習に臨む姿勢こそがチームに刺激を与える意味では大きかった。
誰もが虎視眈々とレギュラーを狙うべく練習で全力をぶつけた。玉田は「試合に出るためには練習で見せるしかない」と、切れのあるプレーでアピールを続けた。川口は「僕は気の利いたことをみんなに言えない。練習でやっていく姿勢を見せていくしかない」と殺気立つほどの気合で練習に臨んでいた。第3GKという立場ではあったが、試合に出たいという熱意を漂わせていたのだった。
そして中村俊輔。彼はいつも最後まで練習グラウンドに立っていた。スーパーサブの役割として数少ないチャンスを活かすために、FKを蹴り込み、シュートを打ち続けていた。コーチから「もう上がれ」と言われるまで、延々と蹴っていた。
デンマーク戦でFKを直接決めた本田圭佑は、練習ではなかなか決められずにいた。練習中、中村のキックを眺めていたこともあった。中村のキックがヒントになったかどうかは分からないが、ベテランたち各々の取り組みが、周囲の選手たちにいい影響を及ぼしたことは間違いなかった。