オリンピックへの道BACK NUMBER
女子クロスカントリーのパイオニア。
石田正子が“世界”と渡りあえる理由。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShino Seki
posted2013/01/12 08:01
フィンランド・クーサモで開かれた大会では、総合9位と健闘した石田。今季のW杯ではこの自身の初戦以降、参加した3戦連続でトップ10入りと高いレベルを維持している。
もしかしたら、国内よりも海外で知られているかもしれない。
1年のうち、大半を海外で過ごす。数々の大会を転戦しては海外の強豪選手と勝負し、世界で一定以上の成果をあげ、存在を知らしめてきた。
昨年11月に32歳を迎えた石田正子は、日本のクロスカントリースキーの歴史を塗り替えてきた第一人者である。
2009年、ワールドカップの女子30kmクラシカルで3位となった。長距離種目で表彰台に上るのは日本選手では初めてのことだった。
翌年のバンクーバー五輪では、やはり30kmクラシカルで男女を通じ日本最高、女子ではアジア勢最高となる5位入賞を果たした。
成績もさることながら、試合で失敗することがあっても競技の内容、技術の面でも年々、着実に進化を遂げている。
種目、距離の壁を越えるオールラウンダーへと成長。
クロスカントリーはクラシカル、フリーの2つの走法があり、それぞれの走法でレースが行なわれる。石田はもともと、クラシカルの長距離種目を得意としていたが、その後、中距離でも成績を残せるようになっていった。さらにフリーで行なわれるレースでも、そして短距離種目であるスプリントでも少しずつ成果を示してきた。
例えば、今シーズンのワールドカップに参加した初戦、昨年11月のフィンランド・クーサモでの大会では、スプリントのクラシカル、5kmフリーともに昨シーズンの成績を上回った。
そして象徴的なのは、昨年末、カナダ・キャンモアで行なわれたワールドカップでのスキーアスロンだった。
最初の7.5kmをクラシカルで、後半の7.5kmをフリーで走るこの試合、石田は前半のクラシカルで6位につける。そして後半のフリーで一つ順位を上げて5位の成績をおさめた。