セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
最底辺のボローニャに場違いな2人。
“劇薬”はチームを変えられるか?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2012/11/30 10:31
2014年W杯予選のイタリア代表にも選ばれたディアマンティ(右)とジラルディーノ(左)。
「野心的でアクの強い選手の存在は必ず必要だ」と監督。
個性派選手の扱いに指導者が手を焼くかといえば、監督ピオリはむしろ彼らの一番の理解者だ。
落ち着いた風貌からは想像もつかないが、ユベントスでの現役時代に、スクデットとチャンピオンズカップ、さらにトヨタカップまで勝ち取っている。歴戦の猛者でもある指揮官は「例えばイブラヒモビッチのような選手は必要だ」と説く。
「素直で言うことを聞く選手たちばかりとなら、監督として仕事はやりやすい。しかし、そんなチームが勝つことは難しい。絶対に逃せない目標を達成するためには、野心的でアクの強い選手の存在は必ず必要だ」
11月の代表戦から戻った主将ディアマンティは、チーム再合流後すぐに関係回復を図った。トリノ戦後の暴言の誤解が解かれ、チームメイトと和解すると、翌13節パレルモ戦でジラルディーノとアベックゴールを決め、チームは3発快勝。ようやく降格圏脱出かと思いきや、つづくサンプドリア戦では退場者を出して敗れ、再び最下位グループに。一進一退がつづくシーズンはまだ半分以上も残っているが、タイトル争いとは無縁の泥臭い残留争いに、ジラルディーノとディアマンティは自分たちの持つ全精力をぶつけようとしている。
「もっと死に物狂いになれ!」
残留争いに効く妙薬は甘くない。多くの修羅場をくぐってきた流浪の一流FWと破天荒な主将が、ボローニャを戦う集団にする。