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タイガースの逆襲とGMの功績。
~ワールドシリーズ進出の立役者~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2012/10/20 08:01
ヤンキースを4タテし、ワールドシリーズ進出を決めたタイガース。1984年以来の世界一を目指す。
タイガースの逆襲、陰の功労者はGMのドンブロウスキー。
タイガースは、レギュラーシーズンの残り22試合を15勝7敗のハイペースで勝ち上がった。ポストシーズンに入ってからも(10月18日現在)、7勝2敗と好調を持続している。
陰の功労者は、GMのデイヴ・ドンブロウスキーではないか。
ドンブロウスキーは、2009年シーズン終了後にマックス・シャーザーを獲得した。'11年7月にはダグ・フィスターを、'12年7月にはアニバル・サンチェスを獲得した。
3人とも、'84年生まれの28歳だ。シャーザーはダイヤモンドバックスで、フィスターはマリナーズでくすぶっていた。サンチェスも、所属していたマーリンズの不振に嫌気が差していた。
この3人が加わったことで、タイガースの先発投手陣は一気に強化され、終盤戦の逆襲へとつながった。絶対的エースのヴァーランダーにしても'83年生まれの29歳だから、4人とも脂が乗り切っているといってよい。
長期的な視点でパワーとスピードの融合を目指す稀有な手法。
攻撃の面でも、ドンブロウスキーのチーム作りは実を結びつつある。フィルダーの加入がカブレラの三冠王獲得に結びついたことはいうまでもないが、かつて主軸だったカーティス・グランダーソンを放出してまで獲得したオースティン・ジャクソンが期待通りの活躍を見せているのは大きい。ドンブロウスキーのように、長期的な視点でパワーとスピードの融合を目指すGMは、そんなに多くないのではないか。
というわけで、シーズンも最後の最後になって、私はふたたびタイガースの地力に眼を奪われている。ワールドシリーズの帰趨はまだまだわからないが、面白さではここが筆頭だ。渋い脇役をそろえたチームは、やはり見ていて退屈しない。