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金本知憲とチッパー・ジョーンズ。
日米で大きく異なる引退のスタイル。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2012/10/21 08:02

金本知憲とチッパー・ジョーンズ。日米で大きく異なる引退のスタイル。<Number Web> photograph by Getty Images

アトランタ・ブレーブス一筋、19年に及ぶ選手生活の幕を閉じたチッパー・ジョーンズ。MLB生涯打率.303、2726安打、468本塁打、1623打点とメジャー屈指の成績を残した。

 果たして野球選手にとって理想的な“花道”とは一体どんなものなのだろうか?

 時を同じくして球界を代表する日米2人のベテラン選手の引退に触れる機会があり、MLBとNPBの違いを垣間見ることとなった。

 ひとりはMLB、アトランタ・ブレーブスのチッパー・ジョーンズだ。

 最近のメジャーでは数少ない現役の19年間をブレーブス一筋で貫き通した選手である。タイトルは1999年にMVP、2008年に首位打者を獲得した程度だが、通算打率.303はスイッチヒッターとしてはメジャー最高を記録。まさにメジャー史上に残る強打者の1人だった。

 そんなジョーンズの現役最後の試合は“悲運”としか言いようがなかった。

後味の悪い最終試合となったジョーンズの“悲運”。

 10月5日、今シーズンから導入されたワイルドカード決定戦。この試合に勝った方がワイルドカード・チームとして本当のプレーオフに進出できる大事な一戦。勝率上位のブレーブスが、カージナルスをアトランタに迎え入れての戦い。ジョーンズも「4番・三塁」でスタメンに名を連ねていた。

 2回にブレーブスが2ラン本塁打で先制するという理想的な展開から、敵を迎えた4回無死一塁。次打者が放った打球はライナー性の強烈な三塁ゴロ。これをジョーンズが見事に対応し、がっちり掴み、誰もが完全な併殺だと思った瞬間だった。

 ジョーンズが投げた二塁への送球が二塁手頭上を越える悪送球となり、無死一、三塁とピンチを広げてしまった。結局、この回に3失点を許し、試合の主導権を握ったカージナルスに追加点を奪われた。

 一方のブレーブスは2回以降、得点が奪えない。それでも7回に1点を返し反撃の糸口を掴んだかに思えたが、2死二、三塁の場面でジョーンズが二塁ゴロに終わり、3対6で敗れ去った。

 8回には左翼線審のインフィールドフライの判定を巡り、5万人以上集まったファンの怒りが爆発。空き缶やペットボトルを次々にグラウンドに投げ入れ、試合が中断するというアクシデントも起こっていた。

 あらゆる意味で、ブレーブスにとってもブレーブス・ファンにとっても後味の悪い試合になってしまった。これがブレーブスにとって今シーズン最後の試合であり、もちろんジョーンズにとって現役最後の試合となってしまった。そこには“ハッピーエンド”の要素など何一つ存在しなかった。

【次ページ】 ジョーンズと好対照な幕引きを飾った、阪神の金本。

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