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残り10節、混沌のJ1優勝争い。
均衡した戦力バランスは是か非か!? 

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細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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posted2012/09/15 08:02

残り10節、混沌のJ1優勝争い。均衡した戦力バランスは是か非か!?<Number Web> photograph by AFLO

五輪出場を逃したが、浦和で存在感を発揮する原口元気。純粋なドリブラーは日本代表でもアクセントになれる可能性を秘めている。

首位の仙台は、得点源の“分散”が強みだが……。

 一方、目下の首位に立つ仙台は、主力に対する“依存度”が見事に分散している。80%以上の出場率を記録しているのは広島や浦和より2人少ない6人。その傾向は得点分布にも表れており、10得点のウイルソン、7得点の赤嶺真吾という2人の得点源を筆頭にその他の得点記録者が13人もいる。これは他のチームにはない大きな強みだ。ただし、浦和と同様、角田誠、富田晋伍、上本大海という絶対的なキーマンが累積警告でリーチの状態にあり、特に角田は次に警告を受ければ2試合の出場停止処分となる。有事の際の対応策は、すでに手倉森誠監督の頭にあるだろうか。

 勝点差はまだ肉薄としているとはいえ、「戦力と戦術の安定」という観点から、優勝争いはこの3チームを中心に繰り広げられるだろう。もちろん磐田や鳥栖、名古屋や清水、さらには柏やFC東京にも可能性はある。'07年には鹿島が残り9試合で10差を逆転しているから、何が起きても不思議ではない。

“絶対王者なきJリーグ”はレベル低下の象徴なのか?

 いよいよクライマックスに突入するJリーグ。上位陣の顔ぶれは、確かに例年とは異なる。それを見て「少し前までJ2にいたクラブばかり」と絶対王者なきJリーグの不安定さを嘆く人もいるし、確かにレベルの均一化という現状はJリーグ全体の地盤沈下と考えることもできる。事実、ACLでは2年連続でベスト8にすら駒を進めていない。

 ただ、“絶対王者なきJリーグ”もそれはそれで悪くないと感じている。なぜなら、一つでも多くのチームが優勝争いの味を知ることは、長い目で見て全体の意識改革につながるからだ。昨季頂点に立った柏の選手たちが、目を輝かせて「あの景色をもう一度みたい」と口にする姿はあまりにも印象的だった。

国内組からのさらなる底上げがザックジャパンを強くする。

 それからもう一つ。残り10試合のJリーグから、日本代表指揮官の考えを改めさせる選手が現れることも期待したい。W杯最終予選のイラク戦後、ザッケローニは「現状以上の選手を探すのは難しい」と口にしたが、国内組からのさらなる底上げなしにチームの強化は望めない。たとえ日本代表が戦力と戦術が安定した完成度の高いチームだとしても、指揮官の本音は「現状以上の選手」を常に求めているはずである。

 今季のJのクライマックスは、今夜7時、広島vs.仙台の首位決戦で幕を開ける。

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