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なぜこの時期にホームで大敗した?
浦和の“正攻法”、その弱点と可能性。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAFLO
posted2012/09/29 08:01
原口、柏木、リシャルデスの強力な攻撃陣を自在に操る阿部が浦和の攻撃を始動させる。厳しいマークが予想される終盤戦、前線へ効果的なパスを出し続けることができるか。
9月22日に行われた第26節、浦和レッズのホームで迎えたガンバ大阪との一戦は、0-5という予想外のスコアに終わった。
内容はスコア以上でも以下でもない。浦和の完敗、G大阪の完勝である。しかしこの試合で露見した浦和の課題は、大量5失点を喫した守備ではなく、無得点に終わった攻撃にあった。
リーグ戦では最近4試合を3勝1分けと好調を維持し、9試合を残して3位。6年ぶりの優勝争いに身を置く今の浦和の強みは、昨季までと比較して安定感が劇的に改善された守備ではなく、ようやく“正攻法”でゴールを奪えるようになった攻撃にあった。
ドローに終わった第24節大宮戦、0-1と完封負けを喫した第21節神戸戦を除けば、浦和は直近7試合のうち5試合でそれぞれ2得点を記録している。1試合2得点は決して大量得点ではないが、これを継続し、なおかつ結果につなげることは簡単ではない。
この5試合の結果が4勝1分けと安定したことで、6月のポポの故障を機に始まった“原口元気の1トップシステム”が今季の浦和の“正攻法”としてようやく確立されつつあった。
浦和の“正攻法”はなぜG大阪に通用しなかったのか?
しかし、浦和はG大阪の守備に手も足も出なかった。試合後のミックスゾーンでは、G大阪のDF今野泰幸が完封勝利の手応えを口にした。
「サイドと見せかけて中を使うのが浦和のやり方なので、まずはプレッシャーをかけて、外に追い込むという守り方ができたと思います。サイドにボールが渡っても藤春と加地さんがいい寄せをしてくれたし、その次の展開に対しても的を絞りやすかった。改めて外から見てくれた人、監督とかにも確認する必要があると思いますけど、今日は特に中盤との距離感が良かった気がします。だから挟み込んでボールを奪ったり、前で狙えることが多かった。とにかく的を絞りやすかったですね」
今野が言うとおり、浦和の攻撃の特徴は「サイドと見せ掛けて中を使う」ことにある。
原口を最前線に、柏木陽介とマルシオ・リシャルデスを2列目に配置する3-4-2-1システムは、いかにピッチを広く使えるかがポイント。マイボールの際には右の平川忠亮と左の梅崎司が極力高い位置に張り、最前線の原口が下がってクサビのパスを受けようとすると、平川、マルシオ・リシャルデス、原口、柏木、梅崎と5人のアタッカーが横一線に並ぶ変則的な陣形を取る。