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残り10節、混沌のJ1優勝争い。
均衡した戦力バランスは是か非か!?
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAFLO
posted2012/09/15 08:02
五輪出場を逃したが、浦和で存在感を発揮する原口元気。純粋なドリブラーは日本代表でもアクセントになれる可能性を秘めている。
ユーロ2012、ロンドン五輪、U-20女子W杯、さらにW杯最終予選と続いたビッグイベントがひと段落して、ようやくサッカーファンの関心がJリーグに及ぶ時期が来たと言えるだろうか。ただし例年とは異なる展開に、久々に順位表を覗いた人は少なからず驚くかもしれない。
首位はベガルタ仙台、勝点1差で2位にサンフレッチェ広島。第24節を消化して残り10試合となった今季、第2節以降の順位表で首位に立ったことがあるのはこの2チームだけである。ただし優勝争いが絞られたかと言えば、決してそうではない。
首位の仙台と10位横浜F・マリノスの勝点差はわずか10。3位には勝点42の浦和レッズ、4位のジュビロ磐田、5位のサガン鳥栖、さらに6位の名古屋グランパスが同勝点の38でこれに追随し、以下、清水エスパルス、柏レイソル、FC東京、横浜FMと続く。もちろん、残り10試合という状況を考えれば“10差10位”の横浜FMにとっても逆転不可能な差ではない。今に始まったことではないが、それほどまでに今季のJリーグは各クラブのパワーバランスが拮抗しているのである。
データから導き出された上位チームの特徴とは。
ただし、上位にいるチームにはそれなりの理由がある。特徴として挙げられるのは、データから導き出される「戦力と戦術の安定」だ。
ここまでの24試合を時間で換算すると2160分。そのうち80%の出場率(1728分以上)を誇る選手を数えると、広島と浦和、さらに鳥栖は8人にも及ぶ。レギュラーをほぼ固定した状態で戦い抜いてきたということは、指揮官の戦術や起用法が一貫していることも意味すると言っていい。つまり、戦力と戦術にブレがない。
中でも広島は、非常に特徴的なデータを記録している。出場率100%の選手が実に4人(西川周作、水本裕貴、千葉和彦、森脇良太)もいるのである。また、森崎和幸、佐藤寿人、高萩洋次郎の出場率も90%を超えていることから、彼らがいかに“不動のメンバー”で戦ってきたかがわかる。