フェアウェイの舞台裏BACK NUMBER
異種格闘技戦の様相を呈すゴルフ界。
桑田、立浪の挑戦で真価が問われる!?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAFLO
posted2012/09/02 08:01
昨年5月に開催された富士カントリー可児クラブチャレンジカップ・プロアマ戦に2年続けて参戦した桑田真澄は、「スコアメイクの難しさがよく分かった」と語った。
これはもはやゴルファーと野球選手の異種格闘技戦の様相である。
といっても、一方がアイアンを手に握りしめ、一方はバットを武器にして金網の中で殴り合おうというわけではない。9月6日から始まる男子ツアーのトーシンゴルフトーナメントに元プロ野球選手の桑田真澄と立浪和義が主催者推薦枠で出場することが決まったのだ。
開幕前日のプロアマ戦ではなく、本戦への出場である。予選通過を目指し、その先に優勝を狙うプロと同じ立場で試合に出るということになる。
桑田も立浪も、プロゴルファーとは比べるべくもなく……。
もちろん2人とも野球選手としての実績にはなんの文句もつけようがない。だが、ゴルフはそれとは別の話であるはずだ。
桑田がプロツアーに挑戦するのはこれが初めてではない。昨年、下部ツアーの富士カントリー可児クラブチャレンジカップでプロツアーに初出場して初日93、2日目87の通算36オーバーで最下位。今年も同じ大会で95、97を叩いて通算48オーバーで2年連続の最下位に沈んだ。3月にはローカル大会の北九州オープンにも出場して94を叩いて予選落ちしている。
立浪はツアー初出場である。「桑田さんよりもうまい」という声も聞くものの、やはりプロゴルファーとは比べようもないだろう。
日本ゴルフツアー機構(JGTO)では、主催者推薦で出場するプロに関して「ツアー出場権を懸けたクオリファイング・トーナメント(QT)で2次予選まで進んだ選手」という内規を設けている。ただし、アマチュアに関しては規定がない。その盲点を突かれたような今回の人選だった。
マスコミやファンの目を引く話題づくりの必要性も?
では、主催者の思惑はどこにあるのか。
トーシン・トーナメントは2年前に新設された大会である。昨年は石川遼が2年連続で欠場するというありがたくない形で話題となった。今回は、8月26日になってようやく石川の初出場が決まったものの、最近まで出場は定かではなかった。ツアー最大の目玉選手が不在の可能性があるならば、それを補う形でマスコミやファンの目を引く話題づくり、起爆剤が必要だ。
わからない理屈ではない。ただ、どうしても違和感が残ってしまうのは、日本のトップツアーが、純然たる競技ではなくどこかの安っぽいイベントやテレビマッチのように見えてしまうからだろう。K-1にタレントのボビー・オロゴンが参戦するようになった作りとどこか似ている気がするのだ(ボビーの場合は意外と成功はしたのだが)。