青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
石川遼頼みの男子と逸材が揃う女子。
集客力で軍配が上がるのはどちら?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKYODO
posted2011/09/15 10:30
昨年、千葉のキングフィールズGCで行われた日立3ツアーズ選手権では、JGTO(男子)が4度目の優勝を果たした。石川は藤田寛之、宮本勝昌、薗田峻輔、松村道央、池田勇太らとラウンド
毎年12月に行われる日立3ツアーズ選手権はシーズンオフの人気イベントだ。
男子、女子、シニアの各ツアーによる団体対抗戦は、その勝負の行方もさることながら、各ツアーのトップ選手が一堂に会するお祭り的な雰囲気が最大の魅力。
そんな中でも一番の人気選手はやっぱり石川遼だ。ただし、石川自身が肌で感じる空気感は少しばかり違っているから面白い。最終ホールで鮮やかなバーディーフィニッシュを決めた昨年の大会では、ちょっとすねたようにしてこんな感想を述べていた。
「今までで一番ギャラリーが多かったように感じたけど、何となくギャラリーの雰囲気がLPGA(女子)寄りなのかなと思った。最後のバーディーも男子ツアーならものすごい歓声になるのに、なんか『おぉ、石川入れたか』っていう程度で終わっちゃった(笑)。それがすごく新鮮で楽しかったけど、女子ツアーに(人気で)押されてるなとは思いましたね」
至近の会場で男女ツアーが同時開催されることの弊害。
しかし9月の最終週、今度はれっきとしたツアーの試合で男子と女子の人気度が試される。男子のコカ・コーラ東海クラシックと日本女子オープンが愛知県内で同時開催されるのだ。それぞれの会場となる三好カントリー倶楽部と名古屋ゴルフ倶楽部はわずか10kmしか離れていない。
突出した石川遼人気におんぶに抱っこ状態から抜け出せない男子ツアーと、宮里藍や横峯さくらをはじめとしてタレント百花繚乱の女子ツアー。どちらがより多くのギャラリーを集められるのかと興味をそそられる一方で、超至近距離での集客バトルはゴルフ界全体としてはマイナスではないかという懸念が残る。今回は3ツアーズ選手権ではなく、それぞれに独立したイベントだからだ。
相乗効果を高めようと会場間にギャラリーバスを走らせて行き来できるようにする計画もあるようだが、お気に入りの選手にくっついて歩いたり、定点観測していろいろな選手のプレーを楽しむのがゴルフ観戦の一般的なスタイル。「藍ちゃんを見たから次は遼くんに行こう!」と1日2ラウンドもするのはいくら会場が近いとはいえ肉体的にもしんどいだろうし、あまり現実的とは思えない。ギャラリー分散というデメリットがそれぞれの大会の盛り上がりに水を差す可能性もあるのではないだろうか。
男子、女子、シニアのツアーをそれぞれ統括するJGTO、LPGA、PGA、さらに男女の日本オープンを主催するJGAは、年末に翌年のスケジュールについて話し合う機会を設けている。当初はコカ・コーラ東海クラシックが今年だけ別の週に移動する計画があったのだが、最終的に調整がつかずに同週のままでの開催にいたった。