フェアウェイの舞台裏BACK NUMBER
異種格闘技戦の様相を呈すゴルフ界。
桑田、立浪の挑戦で真価が問われる!?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAFLO
posted2012/09/02 08:01
昨年5月に開催された富士カントリー可児クラブチャレンジカップ・プロアマ戦に2年続けて参戦した桑田真澄は、「スコアメイクの難しさがよく分かった」と語った。
理解を示しながらもプロとしての自負を覗かせる谷口。
それにもし話題作りだけを考えるならば、テレビ番組でプロを目指して修行中のAKB48の山内鈴蘭を呼んでみたってよかったはずだ。そこまでは振り切れなくて、プロ野球選手ならオーケーと考えた理由は何なのか。アスリートとして抜群の資質を持つ野球選手なら対等に戦えると思っているなら、それはプロゴルファーの積み上げてきた年月に対する敬意があまりにも足りない。
「まあ、主催者も記事を書いてもらわないといけないでしょうからね。推薦の枠なんだからいいんじゃないですか」と意外にも理解を示すのは谷口徹である。PL学園では桑田と同じクラスに在籍し、立浪の先輩にあたる。
「でも2人に集客力があるのかは疑問ですけどね。野球選手としてなら別ですけど、ゴルフではどうなのかな。まぁ、プロは甘くないと思いますよ。小さな試合でも結果は出てないみたいだし」
普段は歯に衣着せぬ言動で知られる谷口が付け加えた言葉にこそ、プロゴルファーとしての自負が覗いてみえた。
「野球からゴルフ」はあっても、その逆はあり得ない。
老若男女、プロでもアマでも一緒にプレーができるのがゴルフの良さと言われる。その特長が、こんな企画が実現してしまう一因でもあるのだろう。
野球からゴルフはあっても、その逆はあり得ないのだから。いくら石川遼が東京ドームのバックスクリーンも軽々と突き抜ける274m(300ヤード)のドライバーショットが打てるといっても、現時点では巨人から代打として獲得したいというオファーがあったとは聞かない。当たり前の話である。
「僕はその逆もやってみたいと思ってるんですけどね」
そう言うのは、ツアー通算5勝を挙げている高山忠洋だ。小久保裕紀を輩出した和歌山・星林高では野球部出身の元高校球児。いたずらっぽい笑みを浮かべて、プロの打席に立つ自分を思い浮かべていた。
北九州オープンで桑田と一緒にラウンドした経験がある高山は、2人の推薦出場についてこう語った。
「複雑な心境ですね。でも、悔しさは感じてないですよ。北九州オープンでは同組の(小田)孔明が首位で、僕も上位で回っていた。それでも記者が集中するのは桑田さん。そういう悔しさはあったけどね。もちろん向こうはスーパースターだけど、ゴルフをやっているんでね。ただ、桑田さん自身のゴルフへの情熱はすごく感じた。プレー中もじっと見られていたから、少し緊張しちゃったぐらい」
笑顔で振り返りつつ、高山は同伴プロへの影響や進行への不安も口にした。確かにそれも憂慮すべきことである。