スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
日本のフェンシング文化も勢いづく?
男子団体が銀メダルを獲得した意義。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2012/08/09 12:55
団体戦のメンバーは、最前列中央の三宅諒、後列左から2人目の淡路卓、後列中央の千田健太、その横でウクライナ人のオレグ・マツェイチュク・コーチと肩を組む太田雄貴の4人。
フェンシング界が取り組む、競技人口の確保の方法とは?
インフラが整備され、フェンシングに触れる機会が増えれば、それはそのまま競技人口の確保につながる。
太田は他競技の状況を見ながら、普及についてのイメージを話した。
「この先、少子化が進んでいくなかで各競技ともパイの奪い合いになると思います。サッカーの人気がアップしてきて、野球でさえも苦しんでいる状況なので、フェンシングはあくまで違った形で競技人口を増やしていくのがいいと思っています」
違う方向性とは何か。太田はフェンシングのスピリットに活路を見出している。
「僕は騎士道精神であったり、教育とスポーツの融合といった面で、フェンシングらしいものを打ち出していきたい」
柔道の必修化が話題になっているが、たとえば「あの学校に行けば、フェンシングが出来る」といった方向性を整備していくのが太田の夢なのだろう。
「『あそこに行かないと食べられない豆腐屋』のような、そうした差別化を図っていくなかで、フェンシングの競技人口を確保できると思うので、協会と一緒に考えていければいきたいです」
と締めくくった。
メダリストは、その競技団体の未来に影響を持つ。
野球、サッカーもあれば、フェンシングだって気軽に選べる。そんな国になれば、日本はスポーツの面で豊かだと言い切れる国になる。少しでも早く、そんな時代が来ることを願っている。