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日本、史上最多38個のメダル獲得!
個人競技で光った「チーム力」の結実。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto/JMPA

posted2012/08/13 12:50

日本、史上最多38個のメダル獲得!個人競技で光った「チーム力」の結実。<Number Web> photograph by Asami Enomoto/JMPA

アトランタ五輪での“惨敗”をきっかけに変わった日本競泳陣。「一人で立ち向かっても戦えない」という認識のもと、チーム力を高めていく戦略が今回のメダル11個へとつながった。

 金7、銀14、銅17。

 今大会で日本が獲得したメダルの数である。総数は、38個にのぼる。これまでに最多だったアテネの37個を超えて、史上最多を記録した。

 金メダルの数で言えば、アテネの16個よりは少ない。しかし、競泳の躍進、卓球とバドミントンでのオリンピック初のメダル、フェンシング団体の銀メダル、アーチェリーでの2つのメダル、バレーボール女子の28年ぶりのメダルなど、意義深いメダルが多かったのではないか。

 メダルへと至った要因は、むろん、それぞれに異なるだろう。それを踏まえた上で、今大会で日本の活躍のキーワードになったのは、「チーム力」であった。

 バレーボール女子などチームスポーツはむろんのこと、卓球女子団体の銀メダルでもチーム力について語られたように、個人競技でもチームの力ということに言及されることが多かった。

チーム力を重視する競泳陣に課せられたアンケートの内容。

 では、個人競技におけるチーム力とは何か。

 とりわけ、チーム力が活躍の原因として上げられたのが、戦後最多の11個のメダルを獲得した競泳だ。

「競泳は27人でひとつのチーム。27人のリレーはまだ終わっていないです」

 背泳ぎ200mで銀メダルを獲得したあとの入江陵介の言葉も印象的だった。

 競泳は、今年4月、選考会を経てロンドン五輪代表が決まって選手が集合したとき、アンケートをとったという。最初の項目に設けられていたのは、次のような内容であった。

「トビウオジャパンのチームワークを高めて目標を達成するためにあなたができる行動を3つあげなさい」

 チームであることを意識してきたことを物語っている。

 では、競泳では、チーム力をどう捉えていたのか。ほんとうに個人競技でもチームの力とは大きいのか。大きいとしたら、それはどのようなものであるのか。

【次ページ】 アトランタ五輪の敗因分析が全ての始まりだった。

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