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ポタリングに最適な自転車はどれ?
ママチャリからロードまで徹底検証!
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2012/07/31 06:01
ママチャリは重くて遅いけど、やっぱお手軽なんだよね。つ~か単にわが子が喜ぶのが嬉しいだけか(笑)。
“ものぐさ自転車”を志すならフォールディングバイク。
では、フォールディングバイクはどうか。
これがまた昨今、人気ジャンルなんだけど、一度でも乗ってみれば、その人気の秘密が分かる。特にr&m(独)のBD-1は、スピード、航続距離において、クロスバイクに少しも引けを取らない。
となると、フォールディングバイクの良さばかりが生きてくるのだ。フォールディングの良さとは、当たり前ながら、折りたためる良さということになるんだが、これどういうことかというと、すなわち「何でもアリ」ということを意味する。
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たとえば、雨でも平っちゃらだ。なぜなら、雨が降ってきたら、折りたたんで電車に乗ってしまえばいいから。
酒だって大丈夫。なぜなら、飲んで酔っぱらってしまったら、折りたたんで電車に乗ってしまえばいいから。
予想外のトンデモ坂が行く手を阻んでも大丈夫。なぜなら(以下同文)。
予想外の強風が(以下同文)。
帰り道に疲れてしまったって(以下同文)。
とまあ、何があっても、とりあえず駅まで走って折りたたんでしまえば、すべては解決黒頭巾というわけなのだ。ものぐさな人間でも我慢しなくていい。いわば楽しみ「だけ」を享受できる。
帰り道をまったく気にせずどこまでも行ける素晴らしさ。
え? ロードバイクでも輪行すればいいって? ノンノンノン、そうはいかない。都会の郊外電車に輪行で乗る場合、時間を選ばなくてはならないからだ。
たとえば夕刻の5時から8時にかけて。朝の通勤ラッシュのような混み具合こそないものの、適当に混んでる。そこに大きな車輪の輪行バッグを持って入るのは、かなりの迷惑だぞ。
それがBD-1(ブロンプトンならもっと小さい)の場合は、完全クリアなのだ。なにしろ跨げる。小さいから。跨げると、多少の混雑でも、ほとんど差し障りがなくなる。単なる「多少大きな荷物」に過ぎない。
この特質の感動的にスゴいところは「帰り道を考えなくてもいい」というところだ。
ロードバイクがいかに速かろうが、フォールディングの倍、というわけには行かない。だが、フォールディングの移動範囲は、倍になる。なぜなら、復路を考える必要がないからだ。
行き先で、ちょいと一杯飲んで、電車で帰ってくることもできる。
おまけにもうひとつスゴいアドバンテージがあって、折りたたみ自転車は、洗車が楽なのだ。なぜなら、折りたたんだまま、バスルームに入れることができるから。シャワーをあて、クルマ用のブラシなどで汚れを落とし、油を注して、洗車完了。じつにお手軽である。これ、都会のマンション暮らしの人には、予想以上に大きなメリットなのである。
なんだなんだ、一番魅力的な東京ポタリング自転車は、まさにこれではないか。
あれ? また“最適”になってしまった。つまり三者三様というだけのこと? いや、それどころか、実は、もう1つの選択肢が、実はある。