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ポタリングに最適な自転車はどれ?
ママチャリからロードまで徹底検証!
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2012/07/31 06:01
ママチャリは重くて遅いけど、やっぱお手軽なんだよね。つ~か単にわが子が喜ぶのが嬉しいだけか(笑)。
街乗りの王道たるクロスバイクは独自の道を歩む!?
まずはクロスバイク。街乗りの王道である。
誤解を恐れずにいえば、クロスバイクの最大の性能であり特徴は、リーズナブルな価格、つまり「安さ」だ。
元来はロードバイクとマウンテンバイクのクロスオーバー、つまりイイトコどりで成り立っている自転車だった。つまり、次のような特質を持つ(持っていた)。
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●適度に速く(軽くてタイヤが大きい)
●適度に乗り心地がよく(タイヤが太く、サスペンションなどを採用したりして、乗り心地が柔らかめ)
●適度にフレンドリー(フラットバーで、サドルが柔らかく、スプロケットのインナーが大きめ)
しかしながら、自転車ブームがやってきて、クロスバイクがエントリーモデルとして注目されるにつれ、クロスバイクは別の道を進み始める。
日本の舗装路には、サスが必要なほど荒れているところは少ない。それどころか細いハイプレッシャータイヤでもほぼ大丈夫。つまり、26インチよりも700c(ロードバイクで多用される細いホイールのタイヤ)の方が速く走れる。慣れてみると、車道の方が安全で快適。
ということになってくると、クロスバイクは別にクロスオーバーというジャンルにこだわる必然があまりなくなってくる。
いつしか、クロスは“フラットバーのロードバイク”というものに限りなく近づいていき、ユーザー側にとっても、それが当たり前になった。実際に昨今のクロスバイクは、速いし、長い距離が走れる。
私はある種の必然であると思う。なんつったって、自転車は速いに越したことはないし、長く走れるに越したこともない。
そうなってくると、クロスバイクの絶対的な特徴は、冒頭の一言に戻ってくるのだ。すなわちクロスバイクは「安い」ことが最大の特徴だと。
「安い」ということは、とても大きなアドバンテージである!
安いという性能は色々な意味で大きく、たとえばママチャリからの乗り換え組は「たかがチャリンコ」に、20万円も30万円も出すわけにはいかない。
で、クロスバイクの価格を見るなら、一番安いもので4万円台、高くても12万円程度。スゴいバーゲンプライスだ。この値段でまともなスポーツバイクが手に入るなんて、ちょっと前なら考えられないよ。
これこそ自転車ブームの大きな恩恵で、大量に売れるようになったことによりコストが下がった。また「ウェルカム・トゥ・自転車ワールド」ということで各社がしのぎを削るので、ますます安くて良いモノが出るようになった。
今の初心者は幸福だと思う。
また、値段が安いというのは「盗難」という意味でも大きな性能で、盗られる可能性も減るし(転売しても大した利益にならない)、よしんば盗まれたとしても、ダメージがそこまで大きくない。
あと、クロスバイクは、泥よけを付けやすいモデルも多いし、極端な話、前カゴだって付けられる。「街乗り」ということをよく考えて作られたものだから、東京ポタリングには、最も向いた車種とも言えよう。
あれ? 結論がここで出てしまう?
いや、次にロードバイクを見てみよう。